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2015年4月号 物流業の存在価値を確立しよう

物流業の存在価値を確立しよう

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共同化、さらに加速

イメージ01  ドライバー・作業員不足の影響が経営スタイルの変化を加速させています。身近な例としてまずあげられるのが、ローソンの物流進出。2月19日付けで第一種利用運送事業を取得したローソンは、利用運送の対象区域・区間化を全国対象とし、2015年度から本格的に着手する計画です。店舗に物流機能を持たせる取り組みやアマゾンとの連携サービスの一環とみられています。同社の玉塚元一社長は昨年11月の記者会見において、この一歩踏み込んだ戦略で、店舗から個人宅への宅配・御用聞きサービスに本格的に取り組む意向を表明していました。具体手には“大地を守る会”“らでぃっしゅぼーや”など、既に青果・食品宅配を展開しているグループ会社と、2015年中に物流網を統合する計画。さらに2016年度には三温度帯への拡大も視野に入れており、ラストワンマイルへのアクセス力を強化する方針を示しています。

 メーカー物流でも共同化が進みつつあります。味の素(本社=東京)など加工食品メーカー6社は、多くの食品メーカーが参画できる「食品企業物流プラットフォーム(名称F-LINE)の構築に合意、食品物流の諸課題を解決するための戦略を協働で立案する、と発表しました。手始めに6社共同配送、中長距離幹線輸送、物流システム(受注基準・納品基準などの標準化)、3つのワーキングチームを設置し、検討に着手することにしています。味の素、カゴメ(本社=名古屋市)、Mizkan(同=愛知県半田市)、日清オイリオグループ(同=東京)、日清フーズ(同)、ハウス食品グループ(同)が参加。各企業単独では解決困難な昨今のトラックドライバー不足や行政の指導強化といった物流環境の激変に対応しながら、サプライチェーン全体の発展に資する効率的で安定した物流体制の実現を目指すことが狙いです。動きは中堅物流企業にも波及しています。カンダホールディングスを中心に、高末、東部ネットワーク、ヒガシトゥエンティワンの4社は2月16日、包括的な業務提携を行うと発表しました。東京、横浜、名古屋、大阪に拠点を構える4社が提携して物流拠点や得意分野を補完しあうとともに、システム面でも共同開発に取り組み、4社の企業グループを「日本物流ネットワーク協力会」(JLNA)と名付け、全国物流ネットワークの構築に向けて各地の物流企業に参加を呼びかけるとしています。チルド輸送分野でも、名糖運輸とヒューテックノオリンは2月10日、共同持株会社を設立して経営統合する発表をしています。大手特積みではすでに幹線の共同運行をはじめ、企業の枠をこえた、連携が行われていますが、競争関係を維持しつつも、複数の会社が持株会社を設立して経営統合するまでに発展してきました。先の2社も強みとしているチルド・フローズン物流のノウハウを活かしながら連携し、業務領域を広げて顧客サービスの向上や経営基盤の強化を図るほか、高度な温度管理技術を用い、変化の早い食品物流を担う「総合物流情報企業」の実現を目指す、としています。低温食品物流では、保管をフローズンで行い、小売・流通はチルドで行うケースが増えており、高品質な温度管理ニーズが高まっていることから、経営統合によって保管、仕分け、輸配送でそれぞれの得意分野を一体化し、きめ細かい低温食品物流サービスを提供できるように準備を進める計画です。慢性的な人手不足に対しても、これらの経営統合は有効性を持つもので、各社得意分野に合わせた人材を派遣・共有し合うなど、生産効力の向上に好影響をもたらすことにも期待できそうです。

 今や全産業を通して深刻な問題となった人口減少にはさらに踏み込んだ対策が必要であるはず。中小貸切トラックでは、求荷・求車ネットワークなどの共同化で何とか急をしのいできましたが、トラックが供給不足になっている現在、これを補う必然性に駆られて新たな共同化の動きが出ているのも事実です。国内貨物輸送量の9割を担っているトラック輸送ですが、この1月は荷動きが全般的に低調であったため問題としてクローズアップされるまでには至りませんでした。ただ年度末に向かい多くの企業が「ドライバー不足で荷主ニーズすべてには応えられないのでは」とみています。5年、10年先の労働人口を見据えた、経営統合・共同化は今後も加速していきそうではありますが、先見性と同時に常に周囲の状況を冷静に注視しつつ確実な一歩を刻んで行くことも大切にしながら、会社と従業員を守り続けていく必要がありそうです。

日本郵便、トールホールディングス買収へ

イメージ02  日本郵便(本社=東京)は、豪州物流大手“トールホールディングス”の発行済株式100%を取得、子会社化する、と発表しました。取得価額は約6,200億円で豪州会社法に基づくスキーム・オブ・アレンジメント(SOA)の手続きにより買収実行契約を2月18日に締結、6月上旬に取引完了の予定です。日本郵便は、国内事業の強化とともに成長著しいアジア市場への展開を柱にすえ国際物流を手がける総合物流企業として成長を目指す、とコメント。国際物流事業としては、2014年10月にフランスのジオポストおよび香港レントングループとの資本・業務提携を締結し、国際宅配便サービスを開始していますが、今後アジア市場での確固たる地位を確立しつつ、さらなるグローバル展開を図るため、トール社の株式取得を決定したものです。国内の人口減少およびインターネットの影響により国内郵便市場はここ数年縮小しており、こうした市場環境の中で収益力を強化していくにはさらなる海外展開が必要と考え、新たな事業基盤の獲得に向けてM&Aによる事業拡大を検討していたもの。

 トール社は、資本金29億7,700万豪ドル、2014年6月期連結売上高88億1,100万豪ドル(1ドル=92.77円換算で8,173億9,647万円)、連結当期利益2億9,300万豪ドル。2009年にはフットワークエクスプレス(現トールエクスプレスジャパン)の全株式を取得して子会社化するなど、アジアパシフィック地域で高いプレゼンスを有し、事業別・地域別ともにバランスのとれたポートフォリオを持つ国際的な中堅企業です。フォワーディング事業と3PL(コントラクト・ロジスティクス)事業を海外展開しており、多国籍企業経営の経験も豊富なことから、日本郵便はトール社をグローバル展開のプラットフォーム企業と位置づけ、国際物流事業の拡大による成長を目指します。国民の税金を使うこととなる今回の取引に懸念の声もあがっていますが、日本郵便の西室社長は安定した収益を今後も確保していくことで結果的にお客様へ利益を還元できる自信がある、としています。

JR貨物障害時、代替輸送を模索

イメージ03  国土交通省物流審議官部門は、鉄道輸送障害時に行う代替輸送の諸課題を解決するための検討会を設置、2月25日に初会合を開きました。荷主委員のうち3人から、東日本大震災や昨年の東海道線不通時に実際に発生した問題点などが報告され、検討会では今後課題のメニューリストをつくって当事者を特定し、6月ごろをメドに解決方策を整理することにしています。検討会は、杉山武彦成城大学教授が座長となり、荷主、通運関係、JR貨物、学識経験者など16人で構成されています。国土交通省から、鉄道へモーダルシフトする上で「災害時の安定輸送に不安がある」ため、荷主が踏み切れないことを挙げ、輸送障害発生を想定した対応の課題例を、JR貨物・通運・荷主別などに整理したものが提示されました。1列車60台分のトラックを手配することは困難なため、JR貨物には代行トラックの確保と情報提供などを、通運事業者にはシャーシの配置を、荷主には輸送経路や方法の多元化などを検討することが望ましいとしています。

 続いて、住友化学、パナソニック、トヨタ自動車の荷主委員が問題点を報告。緊急時のトラック手配は至難の業であること、代行輸送に経費がかかること、着時間などに制約のある貨物を優先して欲しいことなどが挙げられました。中には、「5㌧車でも、う回でも良いから、とにかくJR貨物が努力して列車で運んで欲しい」との意見もありました。学識者からは「重要な区間を特定して議論した方が良い」「情報伝達システムの体系をつくるべき」のほか、「輸送モードの選択にあたっては、荷主よりも3PL事業者が最適なものを選ぶようにできないか」などの意見がみられました。検討会の冒頭、国土交通省の羽尾一郎物流審議官は「関係者が連携し計画的な取り組みに基づく解決方策について、一定の方向性を見出したい」とし、輸送障害時の代替輸送対応という難しい課題を検討する場が初めて設けられたことに意義を認める声も多く聞かれました。次回は4月13日に開催、荷主(味の素)と通運事業者の報告の後、課題の整理に入る予定です。

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