運送RMニュース - バックナンバー

2015年3月号 物流業の存在価値を忘れない

物流業の存在価値を忘れない

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人材不足は自力で回復

イメージ01  トラック、鉄道、外航海運、航空、倉庫など、国内物流事業全体の市場規模はおよそ21兆円。このうち、トラック運送事業の市場規模は、平成22年度において12兆2,437億円で、物流市場全体の約6割を占めています。トラック運送事業は、御存知の通り典型的な労働集約型と言えます。このため、運送コストに占める人件費の比率が他業種と比べても高く、平成23年度で38.4%にものぼります。他方で厚生労働省の統計によると、道路貨物運送業の賃金水準は全産業平均に比べ依然として低く、近年の厳しい経済環境の下、低迷する運賃やコスト増などの影響もあり、低水準で推移しています。当然のようにこれが給与や待遇に影響を与え人員不足も日常化しているのです。人口の減少、少子・高齢化がこのまま進展していくと、労働集約産業であるトラック運送事業では、質が高く若い労働力をいかに確保していくかがさらに大きな課題となってくるでしょう。

 総務省調査では平成26年度現在、トラック運送事業に従事する従業員が全体で約187万人。このうち輸送・機械運転従事者は84万人で全体の54%を占めています。先に国土交通省がまとめた「輸送の安全向上のための優良な労働力(トラックドライバー)確保対策の検討報告書」によると、将来のトラックドライバーの需給について、他産業との賃金格差が縮まらない場合、27年度には約14万人が不足すると予測されており、加えてこの20年余りの間で20代以下の若年ドライバーが、すでに大幅に減少している、ともしています。全ト協が明らかにした2014年度トラック業界概要の人材不足に関する項目で「前月と比較した9月の実績」は「非常に不足している」「やや不足している」とした事業者が66.8%、「同10月の実績」は「非常に不足している」「やや不足している」が68.8%とじわり増加気味。このドライバー不足は全ての輸送品・地域にほぼ共通(全体の約8割)しており、これらは取りも直さず新規取引の受注や貨物量の増加といった物流変動に対応できない大きな要因となっているのです。全体として配送できる車両は余っていても乗れる人員がいないということで傭車が集まらない…、このはがゆい状況にも何とか対応して行かねばならないのが現在国内運送業者に与えられた困難な命題ということでしょう。とにかく何としてでも“物流業に人を呼び込む”という課題の解決は、業界における生き残りを意味するものであるだけに、その歩みを止めるわけには参りません。ただこの様な苦境に追い込まれるあまり、つい大切な原理原則を忘れてしまいがちになることだけは避けたいもの。それは人々が健康で文化的な生活を営む上において、物流は絶対になくてはならぬ存在である、ということに他なりません。日本の全産業が“物流”というツールを失えば、人々の生活も経済もたちまちパニックに陥ってしまいます。国内に活気という血液を循環させている物流業者である、という自負をまず本人達がしっかり抱き、周りに伝えて行こうとする姿勢が何より大切な基本でしょう。

 現在国内物流のほとんどがトラック運送業者に委ねられているにも関わらず、その社会的地位はいまだに低く、国政の現場においても十分に理解されているとは言い難いものがあります。とは言え当事者であるからこそその重要性を認識し、物流業に身を置くことの誇りを忘れるべきではないはず。強い意志を持って引き続き人材確保にも挑んでいただきたいと思います。ドライバー募集の取り組みは①給与の引き上げや②募集媒体の工夫(ホームページやスマホートフォンへも広げる)などが多い一方で、“新規よりも定着”を意識した社内改革から始める企業もここにきて増えているようです。高い意識を持ったドライバーを育てるための教育に力を入れることはメンタル面を重視する今の若者にふさわしいやり方でもあります。“お金よりやりがいや安定性”に重きを置いた働き方を選ぶ人々が増えていることも、また事実です。物流のプロフェッショナルに育ててあげることで、彼らはやがて各々の仕事先から“ありがとう”“また頼むよ”といった言葉をもらい、そこからさらにやりがいや自分の居場所を見つけて行くでしょう。社員の定着率向上は、運送業者の存在価値が高まることの表れでもありそうです。確かに道は険しいかもしれませんが、3歩進んで2歩さがる覚悟で物流マンの地位向上に貢献して参りたいものですね。

国土交通省、準中型免許実施で座学・実技の充実義務付けへ

イメージ02  国交省自動車局は、2017年度に創設される準中型免許などをにらみ、昨年末自動車運送事業にかかわる交通事故対策検討会を設置、1月28日の第2回会合で、貨物自動車運送事業の「運転者教育対策案」をまとめました。 初任運転者に対し、一般的な運転者と同内容の指導・監督を求めるとともに、実車を用いた実技を義務付ける考えを明らかにしました。2018年までに交通事故死亡者数・人身事故件数を半減する(2008年比)事業用自動車総合安全プランの中間見直しで、新たな重点施策として運転者教育の強化を追加していましたが、さらに18歳から取得できる総重量3.5t~7tの準中型免許創設を受け、検討会は貨物自動車運送事業に焦点を絞り、今般方向性の素案をまとめたものです。

 これまで初任運転者は(1)トラックの安全運転に関する基本(2)トラックの構造上の特性と日常点検の方法(3)事故防止のため留意すべき事項(4)危険の予測・回避の4項目を指導対象としてきたが、運行管理者などが一般運転者に行っている項目を追加するとともに一般運転者に対する指導・監督内容を充実させることにしました。具体的には、安全運転に関する基本に「交通事故統計を用いた教育」および「緊急時の適切な対応」を追加。改善基準告示など「労働時間」および「薬物防止」に関する指導・監督指針を明文化し、1年間の教育計画を立て、チェック表などで担保することを義務付けることにしています。初任運転者に対しては、現行でも6時間以上座学を行うことが規定されていますが、この内容を充実させるもの。座学で得た知識を確かなものにするため、実車を用いた安全運転の実技を義務付け、トラックの特性の知識や積み付けなどの技能を取得してもらう、としています。 これらを踏まえ、今後指導・監督の指針(告示)を改正するのと並行して、内容を分かりやすく示したマニュアルを策定するとともに、ゲーム感覚で学べるような教育ツールを全日本トラック協会と開発することにしています。 告示改正は準中型免許を創設する改正道路交通法の施行時期(2017年度)と合わせ、それまでに座学や実技の内容・時間、マニュアル策定などを行っていく計画です。

ヤマト運輸メール便廃止

イメージ03  ヤマト運輸は1月22日、3月末日の受付分で、クロネコメール便のサービスを廃止すると発表しました。顧客がクロネコメール便で信書に該当する文書を送り、罰せられるリスクを防ぐためとしています。代替サービスとして4月から、法人顧客向けに「クロネコDM便」を開始、宅急便サービスを拡充し「小さな荷物」に対応する新サービスも開始することにしています。

 クロネコメール便は1997年に開始、取扱量のピークは2010年度の23億938万冊(2013年度取扱実績は20億8,220万冊、売上高1,200億円)。利用顧客の9割を法人客が占めています。同社によると、2009年7月以降、信書をクロネコメール便で送った顧客が郵便法違反容疑で書類送検などされるケースが8件に上ったことも今回廃止の理由としています。また「信書の定義は極めて曖昧であり、2013年の総務省情報通信審議会郵政政策部会で『外形基準』導入による信書規制改革を提案したものの、主張は受けいれられず、依然顧客のリスクは防げない状態にある」とも指摘しています。「秋には日本郵政の株式上場が予定されており、信書については、上場企業同士、議論する必要があるとも。まず顧客をリスクから守ることが最優先と考え、廃止を決断した」と述べています。廃止による業績への影響は「大きな影響はなく、新サービスへの変更、代替で、むしろプラスになる」とみています。既存顧客の各サービスへの切り替えに際しては「まずは現行の料金・利用条件で移ってもらう」とした上で、「世の中が便利になるサービスは切磋琢磨しあう自由競争から生まれるもの。利便性向上を止めている規制はもっと緩和されるべき」と改めて強調しています。

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