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2014年5月号 時代変化に対応する物流業の取り組み

時代変化に対応する物流業の取り組み

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SCMのその先へ、ロジスティクスに求められる改革とは?

イメージ01  SCM(supply chain management)と聞いて皆様が想像されるのはトヨタのカンバン方式やカイゼンでしょうか?日本の高度成長期を、先頭に立って牽引してきたトップ企業のノウハウは世界中から注目を浴び、各地で様々な形態に変化して行きました。時代と共に進化を重ねてきたSCMを今や逆輸入する形となった日本企業。そこには理論と理想が先走りし、実際には機能しなくなった、まさに旧SCMの姿があるように思えます。安定した企業利益は生産と販売の絶妙な好バランスから生まれます。販売にばかり目が行き的確な需要予測を行わなかったり、発注のタイミングを心得ていなかったりするとたちまち膨大な数の不良在庫を抱えることになるでしょう。歯車が狂い始めたこの展開に、物流業界でも改革を探る動きが出始めています。対応策として生産と販売、そしてそれをつなぐロジスティクスまでをつなぐS&OP(sales and operation)を戦略に取り入れる経営者も増えてきました。物流をサプライチェーンに組み入れる、ということは現代においてごく自然な流れでもあります。ただ経営者は事業計画をまず“金額”ベースで考えますが、生産と物流現場では全ての単位が“個数”で処理されてきます。まずこの単位の統一が生産と物流、そして販売をつなぐ重要なプロセスとなる訳です。このように販売までの物流をコントロールしていく必要が出てくると、確実な需要予測はますます不可欠となってくるはずでしょう。そこで近年市場の変化にも素早く対応するS&R(センス&レスポンス)という考えも広がってきました。区分をさらに細分化し、需要予測が可能な領域とそうでない領域とに分け、前者はできるだけ自動化、後者はS&Rを重視し、素早く対応できる体制を整えようというものです。

 かつて1990年代、日本の後を追う形で登場してきたサムスン電子はその20年後、連結売上11兆円を超える世界企業にまで、成長しました。躍進を後押ししたのは、デルのSCMを手本とするS&OP、いわゆるサムスン式ソリューションの展開であります。生産から販売とその間の物流をひとつの流れとしてとらえることで、情報の共有が可能になり、時間や手間のロスも削減されていくはず、というものでした。サムスン式のロジスティクス展開で、企業計画はひとつにまとめられ、各部門が一本化されたデータを共有できるようになるのです。さらに生産・物流・販売の最適化を目指し、正確な需要予測を理想に掲げました。事実サムスンでは、需給予測の精度が60%台まで上がり、在庫が削減され、物流オペレーションのムダを限りなくゼロに近づけたと言います。

 現代を生き抜く物流専業者として、このサムスン式から学ぶべきことは非常に多いと言えるでしょう。サポートすべき荷主の物流改善を支えることは、大きな武器になりえます。3PLを超え、マネージメントまで行える4PL企業を目指して行くべきです。そのためにまず着手すべきは、社内の意思統一と確認にほかなりません。企業目標と部門個人の目標をまずひとつにして大きな力となすことは、成功のための最低条件です。時代変化に対応する未来の物流企業を目指すことは、新年度体制の整備に是非取り入れたい目標のひとつです。実現のために見直したいのが、標準作業手順書・時間などオペレーションマニュアルの整備とコスト化。さらに“上司の背中を見て学ぶ”ことを常としてきた職人気質からの脱却も、重要でしょう。個人に頼る時代から仕組みに頼る時代へと、物流業も変わらなくてはいけません。情報をとらえ、有効と思われることは貪欲に真似る―、成功のためには当然のことですね。

東日本大震災から3年、BCP策定進まず

イメージ02  東日本大震災から3年が経過、この間緊急物資輸送やサプライチェーンを寸断させない体制づくりが進められてきました。原発事故をきっかけに、エネルギー問題も重要な課題として取り組まれてきましたが、いずれも課題克服には至っていないようです。特に企業のBCP(事業継続計画)は浸透にまで、まだ時間は要しそうです。BCPと並列し最近はBCM(事業継続マネジメント)も提唱されているようですが、これはBCP後の事業継続能力を継続的に維持するマネジメントプロセスを指し、ISO22301(事業継続マネジメントシステム)として2012年に国際規格ともなりました。サプライチェーンでのBCP/BCMは、日本経団連によると(1)自社情報の可視化(2)パートナー情報の可視化(3)資源の戦略配置(4)サプライチェーン再設計の4つの領域でそれぞれ取り組むことが有用だとされています。サプライチェーンの可視化はそのまま物流の可視化にもつながります。物流企業のBCPは、自社の営業を通常に戻すことだけでなく、緊急物資輸送や企業のサプライチェーン早期復旧の役割も担う必要があります。BCP策定については、日本物流団体連合会(物流連)が一昨年7月、日本倉庫協会が昨年8月にガイドラインを策定。その後、日本倉庫協会が現況調査を行い中間集計していますが、作成済み・作成中合わせても4分の1にとどまっています。ただ多くの企業がBCPの必要性を認識しているのも事実です。震災から3年が経過する中、復興事業そのものが未だ道半ば。BCPに対する取り組みが、今後浸透していくか、否か、その岐路がまさに“今”であるとも言えそうです。

国交省と農水省、農水産物輸出1兆円をめざし、物流体制構築を検討

イメージ03  国土交通省と農林水産省はこのほど、日本の農林水産物と食品の輸出額を現在(2012年)の4500億円から16年に7000億円、20年に1兆円へと拡大するための、物流課題と対応策をまとめました。

 両省が共同で取り組む「農林水産物・食品の輸出にかかる物流検討会」を中心に検討したもので、輸出額1兆円に向けた物流課題として、(1)スピードや衝撃の抑制、鮮度保持といった物流の高品質化、(2)物流の効率化、(3)日本産品の販売強化―、の3分野で詳細な課題と対策を整理しました。物流の高品質化に向けた対策としては、輸出入時に国内外市場で必要となる鮮度などの情報や、国内物流効率化を図るための発生荷量など、情報を整理するとともに、複数事業者間で効率的な組み合わせを促す「マッチングシステム」の検討も必要と判断。第一段階として、公表ベースの貿易情報や国内の「荷量発生情報」などで、概略的に情報を一般開放して把握できるようにすることで、「ビジネスのきっかけづくり」を行い、第二段階では事業者ごとに所有する「出荷時期」などの詳細な情報を、任意の事業者間で把握できるようにし、ビジネス化を促す考えです。

 今回の検討会では、主に第一段階のイメージを提案。国内物流の広域的なマッチングに向け、都道府県ごとの発生荷量を把握したほか、鮮度を保持した輸出入貨物のマッチングでは鮮度保持を念頭に置いて輸入品目や商品性質などを整理しました。第二段階については、ビジネス化に向けた出荷などの情報だけでなく、事業者が海外消費者のニーズを把握した後に国・品目別に情報共有できるような仕組みを検討する計画です。仕組みは掲示板のようなものをイメージしていると、としています。今回のまとめを受け、2014年度は、輸出関連事業者を広く招集して輸出戦略の実現に向けた課題を議論する戦略実行委員会の下部組織として物流部会を設け、委員会と情報共有を図る計画です。物流部会ではマッチングシステムの構築と利便性、運営のあり方、利用者拡大策、海外販路拡大策――などを検討することにしています。

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