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2013年9月号 “人材確保”という難問に向かう

“人材確保”という難問に向かう

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有効な人材活用には、経済界の協力も不可欠

イメージ01  経済の回復傾向をよそ眼に、国内には職を求める多くの人々が溢れています。一昨年の震災による復興需要で好調な経営を実現した流通業の中には、その反動が今年度下期の収益低下となってあらわれそうな所も少なくありません。TPP参加などの問題を抱える日本企業は今後、海外企業との競争環境をさらに整備する、という大仕事も抱えています。コスト競争力の確保はもちろん戦力となる人材を確保しておくことが、より必要になって行くことは言うまでもありません。そのためにも人材の流動性を生み出す派遣制度の活用を不可欠、と考える経営者が、このところ再び増えてきたようにも感じます。その様な中、日本経済団体連合会は7月24日、労働者派遣制度の見直しについて(労働者派遣制度の機能と有用性を踏まえて)検討を求める政策提言を発表しました。労働者派遣法の根幹には、派遣先で雇用されている正社員が派遣労働者によって代替されることを防止するという考え方(常用代替の防止)があります。ただ労働市場の実態が大きく変わってきており、今後も代替防止の考え方を維持し続けていくことには限界が生じてきたため、廃止を含めて議論していく必要がある、と提案したものです。

 内容がわかりづらいとの声も多い労働者派遣制度、その要因は、“派遣受入可能期間に関する制限が複雑化している”ためとして、政令で定めるいわゆる26業務か自由化業務なのかをめぐって、労働局と派遣元、派遣先で見解に格差も生じています。とりわけ、26業務に含まれないその他の業務を付随的に併せて行なう場合の1割規制について、付随的業務に該当するのかどうか判断が難しいといった問題などもあり、見直しは不可欠とされているようです。2012年改正された労働者派遣法によって、労働契約の申込みみなし制度の導入や、グループ企業内派遣の8割規制など、さまざまな規制強化が施されました。グループ企業内派遣については、従業員の処遇切り下げにつながっているといった批判から、8割を上限とする規制が導入されていますが、グループ企業内の派遣事業者であるからこそ、派遣先の経営実態や組織事情が良くわかり、高度な就労マッチングや派遣労働者の就労状況の把握が可能となったり、グループの福利厚生施設の利用がしやすくなるなど、派遣労働者にとってもメリットが大きい、という実態を考慮すべきともしています。

 現在物流企業でも多くの派遣労働者を雇用しています。業務形態上雇用には、ある程度の流動性がある方が有利であるためですが、派遣先でも簡単に人材を確保できないのが現状です。物流業は人材を上手く活用することで利益を得る労働集約型の産業です。通常企業においては少数精鋭の社員構成を良しとするところも多いもの。しかし物流業務も多角化し、体力気力共により高い完成度を求められるようになった昨今の物流マンにおいては、それなりの人数も必要なのであります。正社員ではカバーできない部分を補う術としても、今後も派遣労働者は不可欠であり続けると思われます。派遣労働可能な26項目の中に物流におけるフォークマンや梱包技術者、ドライバーなどが加わってくれれば明るい展望も開けてくるかもしれません。経済界も後押しする今制度の見直し、しばらくの間注視することに致しましょう。

今秋、共同点呼制度実施へ、Gマーク業者限定は論議が必要

イメージ02  深夜・早朝の時間帯の運行管理者、補助者の確保が今、中小・零細事業者にとって大きな負担となっています。こうした中、国土交通省では安全性優良事業所(Gマーク)認定事業所に対し、共同点呼の実施を認めることにしました。共同点呼は、営業所間で点呼の受委託ができる仕組みです。ただこの仕組み、事業者の間では、「点呼のハードルを下げてもらえたことは喜ばしいこと」と評価する声がある一方で、「役所の考えと現場のそれとは、認識の違いが大きすぎて現状では使えない」と否定的な声もあります。国交省では7月に通達を出し、10月にも施行する予定としていますが、果たして「共同点呼」は、Gマークのインセンティブとして事業者が「使える」制度になり得るのか、考えてみることに致しましょう。

 Gマーク取得者に認められる共同点呼は営業所間での相互受託が基本ですが、1営業所が複数の営業所から点呼業務を受託することも可能です(1営業所が複数の営業所に点呼を委託することはできない)。「ドライバーを混乱させかねない」(国交省貨物課)との意見は、どこから生じているのでしょうか。まず共同点呼では、運行前点呼を行う場合、ドライバーは自社(委託営業所)の車庫に行きトラックの日常点検などを行なった後、受託営業所に向かい、日常点検の結果を踏まえて点呼を受け、また自社に戻り、そこで初めてトラックに乗車できる仕組みです。一方、帰着点呼の場合は、自社にトラックを置き、その足で受託営業所に向かい、乗務記録の確認・報告をし、点呼を完了させることができます。点呼が終了すれば委託営業所に戻る義務はありませんが、多くの場合、報告のためにドライバーは自社に戻ることになります。受委託点呼の実施場所と委託営業所の車庫との距離は5キロ以内とされるのはこのためです。国交省では、「どこの会社の」「どこの荷物」という情報は受託営業所には開示しない方向で進めており、「あくまで労務管理、安全確認のための制度なので、何時に運行開始して、どのくらい走ったのかがわかればよく、荷下ろし場所を開示するかどうかもまだこれからだ」としています。これに対して有力な事業者は、「事業内容に踏み込まなくてもいいといっても、きちんと点呼業務を行うためには運行指示書の内容まで知らなければならないはず。受委託者間できちんとルールを決めるなどの対策が必要だ」と指摘しています。一見、長所と短所が混在したような内容は簡単に受け入れ難い、といったところでしょうか。今年秋実施予定の共同点呼制度、実施までにはまだ多くの論議が必要になりそうですね。

公取委ガソリン取引調査、元売りと特約店の物流にメス

イメージ03  公正取引委員会は7月23日、「ガソリンの取引に関する調査について」公表しました。これはかねてより課題があるとされていた元売りと特約店の取引状態の知るため、物流分野の状況を調査・分析したものです。

 今回の調査により物流体制の実態が明らかになりました。元売りは近年、物流効率化のため、自前の油槽所を設置する代わりに、複数の元売りが共同で利用できる油槽所(共同油槽所)の利用を推進、各元売が運び込んだガソリンは共同油槽所でまとめて貯蔵された後、各元売りの手配したタンクローリーによってそれぞれの系列SSに配送しています。多くの元売りでは、自社の製油所や油槽所から系列SSに配送すべきガソリンを他の元売りの製油所や油槽所から調達する一方で、当該他の元売りの系列SSのために自社の製油所や油槽所からガソリンを融通する取引(バーター取引)も行っています。元売りが販売・出荷するガソリンは、自社の製油所で精製したものばかりでなく、共同油槽所を利用することにより他の元売りが精製したガソリンが混入したガソリンや、バーター取引により他の元売りが精製したガソリンまで、自社のガソリンとして系列SSに配送している実態がある、と分析しています。また、元売りと系列特約店との取引では、仕切り価格のフォーミュラ(算定式)を、
仕切価格=製油所出荷ベースの指標基準価格+物流費+販売関連コスト-インセンティブ、という風にしています。

 このうち物流費については所在地、立地条件、配送数量等によって系列特約店間で格差が生じることとなりますが、今回書面調査での一般特約店回答によれば、54.3%の一般特約店は、その額や条件について開示を受けていないとしていました。公取委では物流効率化のため、共同油槽所による物流を行なっておりながら、卸値に反映されてないとして、さらに調査を進めることにしています。

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