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2013年6月号 上向き始めた景気を追い風に

上向き始めた景気を追い風に

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企業体力の強化で、新物流施策を有効活用する

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 不安定な天候で、足踏みを余儀なくされていた季節の移ろいにも、ようやく変化が見え始めました。空気にも緑にも、命が宿ったかのような勢いを感じる5月は困難な課題に切り込むにも最適な時、好機を逃さず利用したいものです。さて多くの問題を抱えたまま新年度に突入した物流業界ですが、先日新総合物流施策大綱策定に向けた有識者検討委員会で“国内産業の空洞化を防ぐ”とした物流施策が発表されました。内容は人材育成による国際物流の競争力強化、行程表作成など施策の実施に向けた推進体制の強化などとなっています。これまでの有識者検討委員会で、産業政策と物流の関連や物流人材育成の必要性、また施策の推進体制(だれが責任を持つのか)など多くの意見が出されたことを踏まえ、それらの方向性をはっきりさせたものです。アベノミクスに沸く国内株価がそのまま国内製造業に反映されることが望ましいのですが、まだ楽観できる状況にはありません。
有識者検討委員会では雇用創出や地域活性化の観点から、国内に製造拠点を残せるようにしていくことが不可欠であるとしており、このため国内・国際両面から物流施設と製造拠点がこれ以上海外に流出してゆかぬよう、立地競争力強化に寄与する物流インフラの整備やその有効活用を進めていく必要があるとしています。

 しかしながら物流業界の現状は想像以上に厳しいもの。荷主企業から突き付けられるコストダウンやサービスアップの要求に物申すことすらできぬまま、身を切るような経営をようやく続けている業者は本当に多いものです。“競争に勝つため人材強化をしたくとも、そこにかけるお金のゆとりがない”…という現況を理解できるとした有識者委員会は、現場を支えるドライバーなどの確保や高度化した物流システムを支える人材育成のために力を注ぎたい、としています。ただし物流には多重・多層な人材が必要である、とも付け加えた上でそれぞれの部署がプライドを持って仕事を行なえるように整えるべき、との意見が出されたことは大きな前進とも言えるでしょう。また品質レベルの面でも物流の見える化を掲げ、消費者にも理解してもらった方が良いとの意見も。物流企業での教育は現場での“OJT”が中心ですが、今後のサービスレベルを引上げるためには、顧客思考やニーズ発見など“OFFJT”でしか身に付けることのできないスキルも必要となってきます。競争激化の物流企業においては現場力がカギです。勝ち残るためには、ムダをなくし物流品質を向上させることが重要であるのは御存知の通り。

 このたび国交省が現場の整備に先の様な一定の理解を示したことにより、業界にとってプラスとなる体制作りも進んでいく可能性が見えて参りました。新政権誕生以来、景気の閉塞感は少しずつ和らぎ、株価も上向きの安定傾向を見せていますが、物流業界全体が潤う程の物量回復や運賃上昇などは、いまだに遠い“夢”の様なお話であります。やはり当分の間は各企業それぞれの努力で、苦況を乗り切って行く必要があるでしょう。手段のひとつとして、物流業界ならではの現場力強化対策にも使われることが多い“コーチング”の活用、お試しになってみませんか。難しい課題に直面した時の解決力を養う方法です。以前にも少し触れたことのあるコーチングは“部下の能力を引き出すことに優れた人のコミュニケーション術”を体系的にまとめたものです。コーチング・スキルの要素には(1)自分のやり方をおしつけない(2)指示・命令は最小限に(3)とにかく相手の話をよく聞く(4)部下の存在、仕事内容を大いに認めてあげることが必要とされています。
物流マン育成にはとても効果的、かつ幹部にも必須のスキルだと言えるでしょう。解決困難な問題に真向から立ち向かう部下に、少し斜めや後ろの方向から取り組むやり方を指導し、本人の力で課題を克服させるようにしてあげる…、例えばコーチングとは、こういうことであります。現場力の引き上げや競争力強化に必ず役立つ方法のひとつです。いずれ政府や大学などの教育機関においても物流関連の人材育成が当たり前のように行なわれるようになることが業界としての理想でもあります。これらも含めた体制作りが、今後の物流施策大綱に大いに盛り込まれるよう、期待されるところです。

国交省書面化ガイドラインを制定、今年度内にも実施

イメージ02  日本通運国土交通省は、トラック運送の安全運行確保に向けた『書面化推進ガイドライン』をまとめました。案に対する意見募集を行った後、今年度内に実施する考えです。今回の改正で書面の基本様式に「荷主が書面と相違した運送を強要した場合、荷主勧告、社名公表が行われる場合がある」と明記することにしています。
トラック運送取引での契約書面化の推進は、業界の多層構造対策などからも必要とされ、先月下旬に開催された適正取引パートナーシップ会議でも、荷主業界団体から異論はありませんでした。ガイドライン案は今後、パブリックコメントを経て特に荷主に十分な説明・周知期間を確保する必要があり、年度内に施行(輸送安全規則の改正)するも、「規制ではなく、あくまでルールとして事業者が励行することをサポートする位置付け」(自動車局・加賀至貨物課長)としています。
ガイドラインに合わせ、運送約款に記載されている荷主の運送状は、これまでの「事業者が求めれば提出しなければいけない」から「事業者が不要とした場合を除いて提出する」とし、提出を徹底させることにしています。荷主による運送状提出の後、事業者による重要事項確認書面(仮称)の提出も新たに規定しています。

 つまり運送行為の実施前に、荷主(元請け含む)と実運送事業者による必要事項の共有を求めているのです。多層構造の弊害を解消するため、元請け・利用運送事業者には到着時間の再設定など荷主と実運送事業者との間の調整を行うことも求めています。重要事項確認書面に記載する「運送日時」は、ドライバーの拘束時間・休息期間・運転時間などに抵触しないことや、荷待ち時間が生じないことに留意することとし、「予定外の付帯作業」も、拘束時間超過や労災リスクを解消するためにも必要、さらに業務の内容と料金を記載するようにしています。ムダな荷待ちを発生させないため「車両留置料」の時間単価も記載するよう定めています。付帯作業は、荷造り、仕分け、保管、フォークリフトによる作業、検収・検品作業などが考えられますが、今後例示を実態に合わせて規定することを検討中。契約の書面化は、下請法で荷主が交付することが義務づけられていますが、今般の運送事業者による書面は、記載内容がさらに細かくなっています。荷主や元請け事業者に対しては、今後書面化に対する協力要請や指導通達を行なっていく予定です。

環境省、資源エネルギー庁、温暖化ガス排出取りまとめ

 国土交通省環境省と資源エネルギー庁は2011年度の温室効果ガス排出量(エネルギー需給実績)の確定値をまとめました。資源エネルギー庁の部門別最終エネルギー消費をみると、運輸貨物部門は1,287ペタジュール(PJ、前年度比1.7%減)。京都議定書の基準年度である1990年度比は16.8%減となり、製造業の6.3%減を大幅に上回る削減率となりました。環境省による2011年度の日本の温室効果ガス排出量は13億800万トン(前年度比3.7%増)。
東日本大震災の影響により生産量が減少した反面、火力発電の増加によって化石燃料消費量が増加したことなどによるものです。90年度比は3.7%増ですが、森林吸収源対策の3/8%、京都メカニズムクレジット取得の1.6%を加味すると、90年度比1.6%減となります。また、京都議定書第一約束期間(2008~12年)のうち11年度までの4年間平均は90年度比9.2%減と、6%減の目標を達成しました。(リーマンショック後09年、10年の排出量が少なかったため)

 環境省の調査では、産業部門・運輸部門といった大括りによる統計しかないため、資源エネルギー庁によるエネルギー需給実績で詳細な部門別のエネルギー消費(単位はPJ。原油1リットル=9,250キロカロリー=38.7PJ)をみると、運輸貨物部門は90年度の1,547PJに対して2011年度は1,287PJ(CO2排出トン数ベースでは8,731万トン)となり、16.8%も減少。全エネルギー消費に占める運輸貨物部門のシェアは90年度の11.1%から2011年度は8.9%へと2.2ポイント下がっていることがわかります。
90年度当時は、製造部門を除いた家庭・業務・運輸旅客・運輸貨物部門の差はあまりありませんでしたが、約20年間で運輸貨物部門が大幅に減少したのに対し、家庭部門は24.6%、業務部門は40.9%、運輸旅客部門は25.8%増加、大きな差がついています。

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