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2019年特別号 新入職員のミスに対して家族の協力と理解を求める管理者―新入職員は誰が指導すべきか?―

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■新入職員が介助しようとして転倒寸前

 3月に学校を卒業して入社した新入職員のKさん(20歳女性)は、研修を終えてデイサービスに配属されました。所長は先輩職員に「みなさん温かく指導して下さい」と紹介し、利用者へも「4月からこちらに配属になった新人さんなのでお手柔らかに」と伝えました。配属になって3日目に車椅子の男性利用者(パーキンソン病)が「トイレに行きたい」と申し出があった際、先輩から「あなたが介助して来て」と言われたため、Kさんがトイレ介助をしました。ところが、便座への移乗時に利用者がビクッと動いたため、バランスを崩し利用者を落としそうになりました。Kさんが大声で助けを求め、他の職員がすぐに駆けつけたため、幸い大事には至りませんでした。

 翌日、利用者の息子さんがデイに来て「父はひどく怖い思いをさせられた、新人には介助させるな」とクレームになりました。所長はKさんに何度も謝罪させた上で、「新入職員を育てるのも大切なことですからご家族にもご協力をいただきたい」と利用者の家族に理解を求めました。しかし、息子さんは「なぜ、おたくの新人育成に協力しなければならないんだ」と拒んだうえで「全く改善の意思が無い」と市に苦情申立をして、他のデイに移ってしまいました。

職員育成にかかわるリスク」を利用者に負わせてはいけない

■管理者の対応誤り 
 なぜこの息子さんはこれほど腹を立てたのでしょうか?新人育成の過程で生じるリスクを利用者にも負担させ、有効な対策を講じるようには見えない管理者の態度に腹を立てたのでしょう。管理者自ら謝罪せず、新人に何度も謝罪させている管理者の態度は当事者意識に欠けていると思われても仕方ありません。また、暖かく指導するのは構いませんが、新人がお客様に迷惑をかけないように、管理者や先輩が丁寧な指導をすべきです。

 先輩職員も「あなたが介助して来て」などと新人職員にいきなり身体介護を任せるべきではありません。新人職員はその利用者個別の身体機能や介助方法を熟知していませんから、安全に介助をするのは難しいのです。特にパーキンソン病の利用者は、不随意運動で介助中に身体が動く人がいますから、このようなリスクの高い利用者の介助を新人職員にさせること自体が問題かもしれません。このデイサービス(法人)の大きな問題は、現場での新人育成の体制ができていないことではないでしょうか。

■新入職員の指導体制が必要 
 新入職員は現場で仕事をしながら生きた知識や技術を学び育ちます。仕事をしながら社員を育成する手法(O
..T)は多くの会社で行っていますが、O..Tは現場にその指導体制がなければなりません。そして、安全にOJTを行うためには、お客様に迷惑がかからないようにきめ細かい指導と配慮を行い、指導役が身近で細かく指導する必要があります。特定の先輩社員が指導役となって、O..Tで指導する仕組みが必要なのです。この仕組みは「ブラザー・シスター制度」「メンター制度」などと呼ばれ、多くの会社で導入されています。

 介護サービスは医療と同様、ミスが人の生命のリスクにつながる危険な仕事ですから、新人育成のリスクについては綿密な対策が必要です。



監修 株式会社安全な介護 山田 滋             ※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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