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2018年10月号 看護師の接遇が悪いから市に報告するという利用者の一人娘

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■完璧な接遇方法を職員に要求する娘

 3か月前に特養に入所したMさん(女性・83歳)は認知症がない要介護4の利用者です。土日には一人娘が必ず面会に来ますが、娘さんは几帳面な性格で会社も経営しており「娘としてできる限りきちんと親の世話をしたい」と話します。ある時、看護師がMさんの居室のドアをノックして入室すると、娘さんが居室に来ていてMさんの着替えをしていました。看護師は「あら、ご面会ですか?いつもご苦労様です」と言いました。すると「あなた、なぜノックをしてからすぐに入ってくるの!“どうぞ”と言われたら部屋に入るのよ、常識でしょう?」と大変な剣幕です。驚いた看護師は「失礼しました」と謝罪し慌てて居室を出ました。

 しかし、娘さんはすぐに施設長室へ来て「あなたの施設の職員は接遇も知らないのか?」と食ってかかります。看護師のノックの一件を聞いた施設長は、「それは失礼しました。看護師には言って聞かせます」と答えましたが、「あなたの指導の問題よ。うちの会社ではあり得ないわ」と言います。その上「ひどく失礼な扱いを受けた」と市に報告するというのです。施設長は「今後は全職員に指導を徹底します」と言って、娘さんの言う「ドアノックと入室方法」を全職員に強制しました。娘さんは「施設のためアドバイスしている」と言って、更に細かいことに口を挟むようになりました。反発する看護師に対して「Mさんの娘さんは間違ったことは言ってないから」と耳を貸しません。その後看護師は主任二人を誘って突然施設を辞めてしまいました。どうやら他の法人へ移ったようです。

介護サービス以外の家族の要求はどこまで受け入れる?

■看護師の接遇はどこまで改善すべきか?

 Mさんの居室に入室する時の看護師の接遇態度は、どこが間違っていたのでしょうか?Mさんの娘さんが主張する「ドアノックと入室の方法」はたとえ正しい方法でも、施設や病院では標準的ではありませんし、ホテルではありませんからそこまでの対応をする必要はありません。確かに施設長が言うように、一人娘の主張は間違ってはいませんが、それは個人の価値観であって施設業務に求めるレベルではないのです。ですから、この方法を施設でも徹底すべきという娘さんの主張は要求の度合いが高すぎるということになります。

 このように、自分だけの価値観から身勝手な要求を,施設に押し付けて来る家族がいます。マネージャーである施設長が、このような家族の要求を反論することもせずに受け入れてしまうと、施設職員からの信頼感を失います。身勝手な要求を受け入れたしわ寄せは、職員に重くのしかかるからです。では、このような家族の要求にどのように対応したら良いのでしょうか?

■なぜ看護師は他の職員を誘って辞めたのか?
 
看護師は〝家族の独善的な要求に反論しようともせず、面倒なことは受け入れてしまうという施設長のマネジメント″に対して愛想を尽かしたのです。では、施設長はどのように考えどのように対応すれば良かったのでしょうか?施設としてこの娘さんが要求する接遇方法は受け入れられないと、根拠を示し反論をすべきです。最悪でも、この利用者家族に対する個別の対応のみとして、全ての家族に対して行うべきではありません。

 では、娘さんの主張をすべて受入れられないと反論する根拠は何でしょう?そもそも、介護保険は公的な制度ですから、標準的なサービスを公平に提供することが原則です。一人のお客様の特別注文のために他の利用者のサービスが低下すれば制度趣旨に反します。利用者の個別の要求は大切にすべきですが、家族の好みにすべてを合わせる必要はありません。介護サービスは利用者のためのサービスであり、家族へのサービスではないのです。

  監修 株式会社安全な介護 山田 滋             ※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

 

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