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2017年 9月号 体調が悪ければ感情のコントロールが難しくなる

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■認知症のBPSDを鎮めようとして暴力を振るってしまった

 ある特養で認知症の利用者のBPSDによる暴力行為を鎮めようとして、介護職員Aが利用者に対して暴力を振るいケガをさせてしまいました。虐待通報となり介護職員Aは処罰を受けました。介護職員Aは、施設の調査に対して「自分の感情のコントロールができなくなった」と述べました。職員Aは日頃から真面目な性格で、「どんな場面でも自分の感情を押さえられなければならない」と言っていました。なぜ、Aは自分の感情をコントロールできなくなってしまったのでしょうか?後日Aはその日体調が悪く、朝から下痢をしていたことが分かりました。
 介護職員のほとんどが、「どんなに認知症の利用者が理不尽な行為をしても、自分の感情を抑えることができる」と言いますが、それは自分のコンディションがベストな時だけなのです。体調不良や精神不安定な状態であれば、誰でも感情のコントロールが困難になるのです。介護職員はこのことをきちんと理解して、コンディションをベストに保つよう努力すると同時に、体調不良の時などは感情のコントロール能力が低いことを予測して、対応を考えなければなりません。では、どんな体調不良が感情のコントロール能力に悪影響を与えるのでしょうか?

下痢をした時は感情のコントロール能力が半減すると心得よ

■感情のコントロールが難しい場面を知る 

 私たちは体調など自分のコンディションが万全な時は、自分の思い通りに能力が発揮できます。しかし、体調不良や精神不安定などコンディションが悪い場面では、自分でも驚くほど簡単なことが思い通りにできなくなってしまいます。ですから、いつもは認知症の利用者に対して冷静に適切な対処ができる介護職員でも、体調不良などのコンディションが悪い日は感情のコントロールができなくなってしまい、暴力を振るい虐待事故につながってしまうことがあるのです。ですから、介護職員は「いつでも感情を押さえられなければいけない」という思い込みを捨て、どんな場面で感情のコントロールが難しくなるのかを知っておかなければなりません。では、どのような体調不良の時に感情のコントロールが難しくなるのでしょうか?                                          

■脳腸相関の不思議
 私たちは、緊張する場面などで極度のストレスを感じると、下痢や腹痛を起こすことがあります。脳がストレスを感じると、自律神経から腸にストレスの刺激が伝わるので、お腹が痛くなったり、下痢になったりするのです。しかし、逆に下痢などの腸の具合が悪くなることで、脳がストレスを感じて不安になるなど精神的な影響を与えることもあるのです。便秘でイライラするのも同じ原理なので、これを脳腸相関と呼びます。
 最近の研究では、過敏性腸症候群の患者に「眠れない、落ち着かない、頭痛、食欲がない、意欲がない」などの神経症状がみられるのは、腸から脳への信号伝達に異常が生じて、セロトニンなど脳の神経伝達物質の分泌が不足するのが原因と分かっています。パニック障害の疾患を持つ人は精神安定剤を服用すればパニック発作を避けられますが、下痢をしている時には脳がストレスで不安を感じているので、精神安定剤が効かなくなると言われます。いつもは、認知症の利用者のBPSDに対して冷静に対処できる職員も、下痢をしている日は「今日は少し注意していざという時は仲間に援助してもらおう」と考えなければなりません。 

    

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