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2016年 12月号 毎日面会に来る思い入れの強いご主人の迷惑な世話焼き
毎日面会に来る思い入れの強いご主人の迷惑な世話焼き

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■ご主人が利用者を歩行訓練して転倒させた

 Yさん(女性86歳)はくも膜下出血による左半身麻痺がある、要介護4の特養の入所者です。軽度の認知症があり移動は車いすですが、比較的立位が安定しており排泄も入浴も一部介助です。Yさんには、毎日ご主人が面会に来ます。Yさんはご主人の面会を喜ぶのですが、ご主人は思い入れの強い頑固な性格で、Yさんに対して余計な世話焼きをして介護職員を困らせます。ある時、ご主人が「歩く練習もしなきゃダメだ」と言って、無理に歩かせてYさんを転倒させてしまいました。幸いYさんにケガはありませんでしたが、ご主人には余計な手出しをしないように厳しく言いました。また、キーパーソンの長女にも「ご主人が歩かせてケガをさせても施設では責任が持てない」と話しました。しかし、ご主人は少し意固地になって介護職員に従ってくれませんし、キーパーソンの長女もご主人に余計なお世話を止めるよう言ってくれません。

家族にはお客様席ではなく支援者席に座ってもらおう

◆なぜ長女はご主人を説得してくれないのか?

 施設ではYさんに事故が起こることを恐れて、ご主人の関わり(余計なお世話)を止めさせようとしています。しかし、ご主人のYさんへの関わりを止めさてしまったら、Yさんの生活には影響は出ないのでしょうか?人は誰かに精神的に支えられて生活しているということがあります。その人が居ないことで精神的な支えが無くなって生活意欲が低下する人はたくさんいるはずです。そういった見方をすると、認知症があるYさんにとって“余計なお世話”をたくさんするご主人は、実はYさんの生活を支える大切な人かもしれません。
 また、仲の良い夫婦が年を取り妻が要介護になった時、妻の世話を焼くことで夫自身が元気になることがあります。ひょっとするとご主人は妻の世話を焼くことが自分の生活の支えになっているかもしれません。余計な世話焼きは、ご主人の生き甲斐になっているかもしれないのです。キーパーソンの長女も、そのことが分かっているから、ご主人のYさんへの関わりに注意をしないのではないでしょうか?仕事熱心な介護職員ほど、面会の家族が介護職員にとって余計なお世話をすると、目くじらを立てる傾向がありますが、家族の感情を大切にした方がうまく行くこともたくさんあります。

◆ご家族には座る席が2つある

 利用者の家族(特にキーパーソン)に座っていただく席は、2つあります。お客様席と支援者席です。もちろん、利用者が言えないことを代弁して施設に何か要求する場合は、家族はお客様席に座っています。しかし、利用者の転倒防止のために職員と一緒に知恵を出そうとする時、家族は施設と同じ“支援者席”に座って、一緒に利用者の方を向いています。
 施設は家族と話をする時、すぐに家族をお客様席に座らせて、対峙するような構図を作ってしまいがちです。しかし、居宅で介護をしていた時は家族も利用者の支援者だったのですから、まずは施設と同じ立場で利用者の方に一緒に顔を向けて、利用者の生活の向上について考えてもらうべきではないでしょうか?キーパーソンの家族に支援者席に座ってもらえば、事故防止についての認識も共有できますし、事故が起きた時のトラブルも避けられます。ここは、キーパーソンの長女に頭を下げてひと肌脱いでいただきましょう。長女に「お母様が大けがをされれば、お父様だってとても悲しい思いをされるでしょうから、お父様がお母様にかかわる時には注意を払っていただけるよう、長女様からもお話しいただけませんか?」と相談を持ち掛けたらどうでしょうか?仲の良いご両親を気遣う施設職員の気持ちは伝わるのではないでしょうか?

※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。
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