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2016年 9月号 施設職員は自らの命を顧みず暴漢に立ち向かうべきか?
施設職員は自らの命を顧みず暴漢に立ち向かうべきか?

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■障がい者施設の殺傷事件の再発防止のために

 7月26日相模原市の障がい者入所施設が暴漢に襲われ、19名の尊い命が奪われました。「障がい者は生きる価値がない」という極めて異質な思想や信条が犯行動機ですが、現在の社会状況からは同様の犯罪の再発が考えられ、福祉施設の外部に対して無防備な体制は見直さなければなりません。この衝撃的な事件を受けて厚労省も福祉施設の防犯対策の指針を作成するようですが、早速施設では防犯対策の検討が始まりました。
 ところが、多くの入所施設が始めた対策は「暴漢が侵入したらさすまたで取り押さえる」など、職員の腕力で暴漢をねじ伏せようとするものです。刃物などで武装して襲撃してくる暴漢に対して、職員は自らの命を危険に晒しても、取り押さえなければならないでしょうか?
 かつて、京都市の池田小学校で外部から侵入した暴漢に、小学生が命を奪われる事件が起こりました。翌年文科省は「学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル」を作成し小学校に配布しましたが、このマニュアルでは職員が暴漢を取り押さえるよう要求されていました。3年後に寝屋川小学校で同様の事件が発生して、対抗しようとした職員が暴漢に命を奪われ、その後マニュアルが大きく改訂され、小学校には警備員が配置されたのです。
 武器を持った暴漢に対して、素手の職員が立ち向かうような無謀な行為を繰り返してはなりません。夜勤帯に侵入した暴漢に対して数少ない職員で立ち向かって犠牲になれば、かえって多くの利用者の命を危険に晒すことにつながります。では、どのように対策を見直したら良いのでしょうか?

逮捕も極刑をも厭わない犯人に職員の力による制御は不可能

◆不審者の侵入防止対策には限界がある

 侵入防止策の基本は出入者管理と機械警備です。「地域に開かれた施設」であっても、日中外部の人が入館受付もせずに自由に出入りできる施設は、早急に改善が必要です。また、夜間は監視カメラや非常警報などの機械警備が中心になりますが、モニターを監視し続けることは難しく完璧ではありません。仮に侵入者を監視カメラでとらえて警察に通報しても、犯行前に警察が到着して逮捕することは難しいかもしれません。ですから、不審者の侵入を完全に防ぐことは不可能と考えるべきでしょう。
 しかしながら、自らの命をかけて犯行を遂行しようとする自棄型の犯罪者でも、「犯行が遂行できない」と思わせれば、抑止力が働くかもしれません。たとえば、敷地内に「監視カメラ作動中、不審者は警察に自動通報されます」という看板があれば、犯行を思いとどまり逃げるかもしれません。

◆侵入された時、危害を回避する対策

 犯罪者が施設に侵入し職員と遭遇した時、入所者に危害が及ばないよう実力で取り押さえることは、かなり難しいと考えられます。刃物などで武装している上、犯行の遂行だけが目的ですから、発見されて警察に通報されても犯行を遂行しようとするでしょう。「警察に捕まるから犯行を諦めて逃げよう」と考えずに、ひたすら犯行の遂行を考えるところに危害回避策の難しさがあります。
 このような自棄型の犯罪者でも「犯行の遂行が難しい」と考えれば、犯行を思いとどまりひるむかもしれません。たとえば、犯人と遭遇した職員が立ち向かわず逃げながら、ポケットの中の警報ボタンを押します。押した途端に非常ベルが鳴り「ただいま不審者が侵入し警察に自動通報されました」と館内放送が流れたら、それでも犯行を実行するでしょうか?更に館内放送のバックにサイレン音を入れておけば怯んで逃げるのではないでしょうか?

※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。
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