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2016年 6月号 「BPSDに対応する向精神薬」に抗認知症薬が加わる
「BPSDに対応する向精神薬」に抗認知症薬が加わる

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■かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン第2版公表

 平成28年4月1日に厚生労働省より、「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」の第2版が公表されました(第1版は平成25年7月)。第2版では、対象となる向精神薬に新たに抗認知症薬(※)が加わりました。第1版同様に、認知症患者のBPSDを沈静させる目的で安易に使用されている向精神薬に対してその弊害を指摘した上で、代表的な薬剤を中心に使用上の注意を喚起する内容となっていますが、大きな相違点は抗認知症薬が加わったことです。発売以来その効能と弊害とのバランスが問題視されてきましたが、BPSD症状への使用についてのポイントが明らかになりました。また、抑肝散や抗てんかん薬のBPSDに対する効果について、今回、初めて副作用が少ないという観点から推奨されています。
 (日本老年精神医学会 http://184.73.219.23/rounen/news/20160404public.htm
  ※抗認知症薬:アリセプトなどの認知症症状の進行抑制薬

BPSDに対応する抗認知症薬の第一選択はメマンチン?

◆進まない向精神薬の処方抑制

 本ガイドライン(第2版)の冒頭では、平成27年度に500人のかかりつけ医を調査したところ、相変わらず認知症のBPSD症状に対して向精神薬を処方している医師は半数以上に上り、家族の同意を得ているのは28%と低い水準であることを指摘しています。その上ガイドライン第1版を参考にしている医師は10%でしかなく、ガイドラインが活用されていない実態が明らかになっています。
 なぜ、かかりつけ医はBPSDがある認知症患者に対して、向精神薬(特に抗精神病薬)の処方を改めようとしないのでしょうか?理由は2つあるように思えます。1つは向精神薬処方の弊害が指摘されても、中止した時どの処方薬に変更して良いか分からない、という点が挙げられます。2つ目は、認知症利用者の家族が医師に対してBPSDの沈静を強く望むことです。興奮・焦燥・不安などの精神状態から生じる激しいBPSDに対して家族は“待ったなし”なのです。「非薬物介入が原則」とされても、医師は非薬物介入の術を知りませんし、家族も誰に相談しカウンセリングを受ければ良いのか分からないのです。

◆抗認知症薬のリスクとベネフィット

 さて、新たに加わった抗認知症薬のBPSDに対応する効果と弊害については、大変目を引く記述があります。まず、妄想や興奮などの特徴的なBPSDに対しては、弊害の少ないメマンチンを第一選択として、ドネペジルをはじめとするコリンエステラーゼ阻害薬はBPSDを増悪させる危険があるので控えるべきとしています(レビー小体型認知症の幻覚症状に対してはドネペジルを推奨)。
 また、第1版では触れられなかった抑肝散についてもはじめて記載し、副作用が少ないことから推奨されるとあります。かかりつけ医による非薬物介入が困難と言う前提に立てば、BPSDの沈静に対する処方薬の第一選択が抑肝散、第二選択が抗認知症薬となり、抗精神病薬(統合失調薬など)は論外ということになるのでしょうか?

◆「低用量から処方を開始し漸増すべき」とあるが

 高齢者は体格や代謝機能など個人差が大きく、抗認知症薬についても低用量から開始し規定量まで漸増することになっています。しかし、仮に低用量で弊害なく効果が認められてもそのまま処方を続けることができないという問題があります。規定量を処方しなければ診療報酬が認められないからです。高齢者への薬物の過剰処方の問題は、診療報酬規程そのものに原因があるのです。

※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。
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