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2015年 12月号 ショートステイの誤薬防止対策が誤えん事故の原因に
ショートステイの誤薬防止対策が誤えん事故の原因に

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■誤薬さえ防止できれば乱暴な介護でも良いか?

 独立型ショートステイ(20床)のS事業所では、1ヶ月間に誤薬事故が3件発生し、1件は病院に搬送される重大事故になりました。すると本部から随時服薬を止めて一斉服薬に変えるように指示がありました。食事を終えた人から順に服薬する手順を、全ての利用者が食べ終え下膳されてから一斉に服薬することにしたのです。こうすれば服薬に集中し、誤薬を防止できると考えたのでしょう。
 ところが、一斉服薬に手順を変更してみると、食事に要する時間の差により他の利用者の服薬を待たせてしまうような事が起きるようになりました。ある時、四肢麻痺でリクライニング車椅子のAさんの食事介助に時間がかかり、他の利用者の服薬を待たせてしまっていた為、職員が「早く食べさせなければ」と焦ってしまい、無理に食べ物を口に押し込んだため、誤えんが起こり救急搬送される事故となってしまいました。結局「一斉服薬は食事介助を急がせるために誤えん事故につながる危険が高い」として中止になりました。では、安全な手順で誤薬を防止するにはどうしたら良いのでしょうか?

誤薬の防止は本人確認の工夫がカギ

◆誤薬の発生状況を分析すると

 誤薬の防止対策は、まず発生状況を分析することから始めます。「薬の取り違えのよる誤薬(Aさんの薬だと思ってAさんに飲ませたらBさんの薬だった)」と「人の取り違えによる誤薬(Aさんだと思ってAさんの薬を飲ませたら飲ませた相手がBさんだった)」のどちらが多いかを集計してみれば良いのです。本事業所の事故を分析すると、居宅から持参した処方薬の確認・仕訳・配置の作業は、相談員と看護師が二人で行っており、配置ミスによる薬の取り違えの誤薬はほとんど起きていませんでした。つまり、ほとんどの誤薬が服薬介助時に服薬相手を間違えるという「人の取り違え」が原因で起きていることが分かりました。すると防止対策の方針は「服薬直前の利用者の本人確認手順」が重要と言うことになります。では、どのように本人確認を行えば確実にチェックができるのでしょう?

◆服薬時の本人確認の実施状況

 本事業所で服薬直前の本人確認の状況を調べたところ、次のような手順であることが分かりました。
  1.薬の収納ボックスと服薬一覧が置いてあるカウンターで、服薬する利用者と薬と確認する。
  2.ジップロックに入った薬をボックスから取り出し、ジップロックの氏名を確認する。
  3.ジップロックと水を持って、利用者の席に行き「○○△△様、お薬の時間です」と声かけをする。
  4.「○○△△様、お薬を確認します」と言って薬名を読み上げ服薬させる。
 さて、一見利用者の本人確認を何度も行っているように見えますが、目の前の利用者が誰であるか確認ができていなかったのです。

◆本人確認は顔写真を使うのが効果的

 そこで、このショートステイでは、次のような手順に変えてみました。

  1.家族了解の上でデジカメで写真を撮り、服薬確認シートを
   作成(右図)。
  2.食事後に下膳したらお盆に服薬確認シートと薬と水を載せて
   席に戻る。
  3.服薬確認シートと利用者の顔を見ながら、氏名と薬を確認の
   上服薬する。
 このように手順に変えたところ、職員は服薬確認シートをお盆に載せて席に戻る時点で既に利用者の顔を確認しており、利用者の取り違えの誤薬はなくなったのです。ある職員はこう言いました。「今まで自信が持てずに名前を呼べなかった人に、声かけを積極的にできるようになりました」と。

※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。
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