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2015年 6月号 絶えず移動する認知症利用者の車椅子からのずり落ち
絶えず移動する認知症利用者の車椅子からのずり落ち

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■転落の場面を見ていないので原因がわからない?

 半月前に特養に入所した認知症が重いKさん(82歳女性)は、車椅子の自走(足漕ぎ)で絶えず移動しています。入所後、車椅子のブレーキをせずに立ち上がり転倒する場面があった為、施設ではオートロック車椅子を導入しました。立ち上がると自動的にブレーキがかかるため、立ち上がっての転倒は減りましたが、次第に車椅子から前にずり落ちてフットレストに転落していることが多くなりました。介護職員は、車椅子のクッションの上に滑り止めシートを敷きましたが、それでも車椅子からずり落ちます。ヒヤリハットシートを提出し周囲に注意を呼びかけましたが、Kさんは絶えず車椅子で移動して転落するため、どのようにして転落するのか状況がわかりません。
 ある時、Kさんが車椅子からずり落ちた時、フットレストが上がっていたため床に転落してしまいました。幸い打撲だけで骨折には至りませんでしたが、報告を受けた息子さんが事故状況の説明を求めてきました。介護職員は「常時移動していて転落場面を見た者がいないため原因は不明だ」と説明しましたが、息子さんは「そんな見守りもできないようでは心配だ」と言って、介護主任に転落事故の原因究明を求めてきました。

転倒・転落の状況が不明な場合はどのように対応すべきか?

◆認知症の利用者の生活行為アセスメント

 認知症の利用者に転倒や転落のヒヤリハットが起きても、目撃者がいないケースでは本人から状況を聞き出せないため、どのようにして転倒や転落に至ったのか状況が不明な場合があります。特に入所初期の段階では、利用者の生活行為や生活動作が十分に把握されていないため、ヒヤリハットが発生しても原因となるリスク要因が把握できず、そのまま事故に至ってしまうことが多いのです。このような、把握しにくい認知症利用者の生活行為のリスク要因は、どのように把握したら良いのでしょうか?
 ある施設では、状況が不明な転倒や転落のヒヤリハットのリスク要因を把握するため、「生活行為アセスメントの取組」を行っています。この取組は、ヒヤリハットが発生しやすい時間帯に、介護主任・看護師・相談員の3名で2時間かけて、その利用者の生活行為の状況を観察する取組です。利用者に関わることなく、2時間じっと利用者の生活行為を見続けるだけで、日頃気付かない利用者の生活行為のリスクを把握することができるようになります。Kさんの車椅子からのずり落ちのケースでも、この生活行為アセスメント」を行って2時間観察していれば、足漕ぎ自走の利用者にはオートロック車椅子が不適切であることが発見できたでしょう。

◆足漕ぎ自走の利用者にオートロック車椅子は安全か?


センサーが前後2カ所に付いている

 足漕ぎで車椅子自走をする利用者は、足を前に伸ばす時に座位が前方に寄ることがあります。通常のオートロック車椅子では、座位が前方に寄った時に座面下のセンサーが間違って機能して急にブレーキがかかり、前方に転落する危険があるのです。最近の製品では座面下のセンサーが前後2カ所に付いていて、足漕ぎでも前方転落の危険が少ない機構になっているものがありますから導入時に検討して下さい。
※右写真は「G-Guard(ジーガード)」のオートロック車椅子の機構
(販売:日進医療器株式会社、製造:グンジ株式会社)

※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。
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