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2014年 11月号 センサーコールに対応したら排泄介助中の利用者が転落
センサーコールに対応したら排泄介助中の利用者が転落

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介助中の利用者とセンサーコール対応のどちらを優先?

■センサーコールを優先して利用者から離れてしまった

 中堅の介護職S君はショートステイの副主任です。ある日夜勤に入るとBさんがトイレに行きたいというので、車椅子でトイレにお連れしました。Bさんを便座に移乗させると、突然フットセンサーのコールが鳴り始めました。今日入所したばかりの認知症が重いMさんのセンサーコールです。S君は「Bさんは座位が安定していて少しなら離れても大丈夫だろう」と考えて、センサーコールの鳴ったMさんの居室行きました。
 するとMさんがベッドから立ち上がり壁に向かって大声で何か言っています。S君は「Mさん、もう寝ましょう」と腕に触れると、更に大声を上げます。S君は一人では対応できないと判断し、PHSで他のユニットの夜勤者を呼び自分はトイレ介助中のBさんの所へ戻りました。しかし、Bさんはトイレで転倒していて翌日大腿骨骨折と診断されました。
 家族は「トイレ介助中の利用者を放ったらかして持ち場を離れるとは言語道断、S君の処罰を求める」と強硬に施設長に迫りました。

他でコールが鳴っても介助中に利用者から離れてはいけない

◆S君の考え

 「トイレ介助中に利用者の側を離れても良いか?」と聞かれれば、介護職員は全員Noと言うでしょう。しかし、目の前で介助している利用者の危険は無さそうで、しかもセンサーコールが鳴っている利用者は危険が迫っているかもしれない、という場合はどうでしょうか?S君は「運悪くBさんがケガをしてしまったが、自分の判断は間違っていなかった」と主張するのです。
 確かにS君が言う通り、センサーコールの利用者に危険が差し迫っていて、介助中の利用者の方が安全な場合もあるかもしれません。しかし、その判断をいつも的確にできる介護職はいませんし、両方同時に対応することはできないのですからどちらも事故の危険はあるのです。では、どのような基準で優先順位を判断したら良いのでしょうか?

◆介護のプロとしての責任

 まず介護職員のプロとしての責任を考えてみましょう。もし、介助中の目の前の利用者を離れて事故が起きて、利用者が亡くなってしまったらどうなるでしょう?事故を起こした介護職が介護福祉士であれば、業務上過失致死という刑事責任を負う可能性もあります(※) 。
 しかし、センサーコールに対応できず利用者が事故で亡くなっても、刑事責任を問われることはないでしょう。介助中の利用者の安全に対する責任と、居室の利用者の安全に対する責任では、介護のプロとしての責任の重さが大きく異なるのです。
 ※国家資格者は専門資格者としての高い注意義務を要求されているので、大きな過失で被害者が
  亡くなる ような重大事故につながると、業務上過失致死罪などの刑事責任を問われやすくなる
  と言われています。

◆事故発生時の家族の感情

 次に事故が発生した時の家族の立場に立って、その感情を考えてみましょう。介助中に放って置かれて転倒骨折した利用者の家族の感情と、居室で立ち上がって転倒して骨折した利用者の家族の感情は明らかに異なります。居室で立ち上がって転倒した利用者の家族は、「仕方がない」と言ってくれるかもしれませんが、介助中に放って置かれて転倒骨折した利用者の家族は職員を強く非難するでしょう。
 事故発生時の家族の感情を考えても、介助中の利用者を優先すべきなのです。「センサーコールよりも介助中の利用者を優先する」というルールを徹底することで、介護職はその場で判断に迷うこともなくなり安心して行動できるようになります。

ルールになっていれば判断に迷うことなく対応ができる

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