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2014年 6月号 なぜヒヤリハットシートを書いても事故が減らないのか?
なぜヒヤリハットシートを書いても事故が減らないのか?

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<事例>『ヒヤリハットシートを書いても事故は減らない!?』

 特養のフロア主任Hさんは、忙しい職員がヒヤリハットシートをたくさん書いているのに、事故が減らないことに苛立っていました。あるセミナーで「ヒヤリハット事例の分析と対策検討をしなければ、たくさんシートを書いても事故は減らせない」と聞き、早速職場でヒヤリハット事例の分析と対策検討を始めました。ところが、「原因は見守りを怠ったこと」「対策は見守りを強化する」というような、気合論になってしまって、具体的な原因分析ができません。
 そこで、Hさんは原因分析の前に、ヒヤリハット情報を職員で共有することを考えました。職員が絶えずヒヤリハット情報を共有すれば、自然に利用者をもっと良く見てたくさん関わるようになり、原因にも気付くのではないかと考えたのです。

利用者を良く見てたくさん関わると原因が見えてくる!

 Hさんはヘルパーステーションにヒヤリハットノートという見出しのバインダーを備え付け、職員が書いたヒヤリハットシートを綴り、施設長に提出することを止めました。また、主任のHさんがヒヤリハットノートを良く読み、緊急性の高いヒヤリハット事例には赤の付箋を付けるようにして、特にしっかり読むように職員に徹底しました。
 すると、職員全員がヒヤリハットが起きた利用者を注意して見るようになり、「○○さん早朝に転倒するのだから、朝のバイタルに異常があるかもしれない」という会話も出てきました。調べてみると早朝低血糖を起こしていることが転倒の原因と分かりました。利用者を良く見ないで原因を話し合うより、みんなで利用者を良く見て気付いたことを話し合うほうが効果があるようです。

原因分析のカンファレンスより利用者を良く見るほうが効果的

◆リスク要因に気付くことが大切

 職員が集り「ヒヤリハットカンファレンス」や「事故カンファレンス」を開いている施設もありますが、なかなか会議の席では原因分析がうまく行きません。その理由は次の2点です。

1.介護職員は利用者を良く見ていない
 介護職員は利用者を見ているようで見ていません。なぜなら、仕事が忙しいので用事が無ければ利用者に関わらないからです。
会議の席で「どんな原因が考えられるか?」と討議をしても、日頃利用者を良く見ていなければ原因究明の材料が出てこないのです。
2.事故もヒヤリハットも1つの原因では起こらない
 事故もヒヤリハットも様々なリスク要因が重なって発生します。ですから、たくさんの要因を疑って確認してみることが大切なのですが、会議で結論をだそうとすると何となく1つの結論を出して片づけてしまうものです。

ですから、まずは利用者を良く見てたくさん関わることで、Hさんの作戦が成功したのです。職員は絶えず特定の利用者のヒヤリハット情報が頭に入っていますから、自然に注意が向きたくさん関わるようになるのです。

◆H主任のもう一つのアイディア

H主任が考えたヒヤリハットノート
H主任が考えたヒヤリハットノート

 ある時、H主任は認知症の利用者Xさんのヒヤリハットを読んで、対策の緊急性が高いと感じました。「明日にも転倒して大事故につながるかもしれない」と考えた主任は、ヒヤリハットを書いた職員を呼んで「他の職員に仕事を代わってもらい一緒に来るように」と指示しました。主任は職員とXさんが居るデイルームへ行き「これから3時間ずっと一緒にXさんの様子を良く見てみよう」と言って、Xさんの行動を観察しました。すると、Xさんが歩行時に苦痛の表情を浮かべることに初めて気づきました。主任が看護師に確認すると、Xさんは過去に膝関節を骨折していることが分かりました。受診の結果Xさんは膝関節変形から生じる痛みがひどくなっていることが分かり治療することになりました。
 それ以来、必要があれば仕事を離れて、利用者の生活行為を注視する時間を作るようになりました。

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