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2014年 2月号 在宅の認知症利用者を行方不明事故から守ろう!
在宅の認知症利用者を行方不明事故から守ろう!

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プロが見守る施設でもその半数で行方不明が起きている

■認知症利用者の鉄道事故の賠償判決

 昨年8月に名古屋地方裁判所は、2007年に起きた居宅で生活する認知症利用者の鉄道事故による鉄道会社の損害720万円を、家族に支払うよう命じる判決を下しました。85歳の妻が見守りを怠ったことを過失と認定し、不法行為責任を認めたのです。しかし、家族の見守りだけで居宅の認知症利用者の行方不明を防ぐことは不可能なのです。なぜなら、特養や老健のようなプロが介護する施設においても、半数以上で行方不明が起きているからです(※)。この判決が投げかけた波紋は大きく「在宅の認知症利用者は家に閉じ込めろということか?」と非難の声が上がっています。この判決の是非はともかく、認知症利用者が急増する地域社会では、今後も行方不明事故で多く犠牲者が出ることが予測されます。では、どうやって在宅の認知症利用者を守れば良いのでしょう?

 家族の見守りで行方不明を防げなければ、行方不明になった時迅速に捜索して保護する仕組を地域社会で作らなくてはなりません。現在、多くの自治体で「徘徊SOSネットワーク」という地域の仕組作りが進められ、住民や交通機関などの協力で行方不明の認知症利用者を捜索する試みが行われています。しかし、このネットワークが機能するためには、「家族が迅速にネットワークに捜索依頼をすること」と「行方不明の認知症利用者に周囲の人が気付きやすくすること」が必要です。特に後者はとても難しく、認知症利用者の中には身なりや様子では全く分からないひとが多いので、周囲から声が掛け辛いのです。行方不明になり2日後に遺体で発見された利用者のケースでも、目撃者が2人も居ながら誰も声をかけられなかったのです。衣服に氏名と連絡先を縫い付けても、周囲の人は気づきませんし、目立つところに表示すると本人の自尊心を損ないます。本人に分かりにくく周囲の人が気付いてくれる名案はないでしょうか?(※112施設で調査したところ65施設で行方不明が発生している)

迷ってしまった認知症の人に周囲の人が気付くための工夫

●ある小規模多機能型居宅介護事業所と家族で考えた工夫

 名古屋のある小規模多機能型居宅介護事業所では9割の利用者が認知症であり、居宅を抜け出し行方不明になってしまうことが度々発生していました。居宅での行方不明が発生すると、職員も協力して捜索をしますが、効果的な捜索を行うために家族と知恵を絞りました。まず、日ごろの備えを家族と話し合いました。まず、本人の行きそうな場所をあらかじめリストにします。認知症の利用者が家に帰れなくなることを“徘徊”と言って、目的もなく精神病者のようにウロウロすると思う人がいますが違います。認知症の人は行きたいところや行かなくてはいけないと思うところがあって出かけるのですが、途中で行く場所もいる場所も分からなくなり迷ってしまうのです。

 次に、居宅で利用者が見当たらない時の対応の目安を決めました。「居宅内を5分、家の庭などを5分、近所を10分探して見つからない時は、すぐに小規模多機能型居宅介護事業所のケアマネジャーに連絡する」という対応です。多くのケースで、家族は自分たちだけで何時間も探し時間をムダにしてしまい、かえって捜索が難しくなっているからです。事業所では連絡を受けると、家族と一緒に捜索もしますが、タクシー会社や公的機関にも捜索依頼をします。

●靴のかかとに電話番号だけ貼ると声をかけてくれる

靴のかかとに電話番号だけ貼る

 さて、難問は「本人の自尊心を損なわないようにして迷った時周囲が気付いてくれる」という工夫です。試行錯誤の末右の写真のように、靴のかかとに蛍光テープを貼り電話番号だけ書くという方法が最も効果があることが分かりました。

 認知症の人が迷ってしまった時、周囲の人が比較的気付きやすく、電話番号だけが書いてあると見かけた人が「何だろう?あ、この人は道に迷ってしまう人なのかな?」と考え、電話をくれるのです。本人から見えにくいところにあるので、自尊心を損なうこともなく受け入れてくれます。認知症の人の気持ちに配慮した素敵なアイディアです。

【お断り】本ニュースでは“徘徊”という言葉の誤った印象を避けるため「行方不明」という言葉で表現しています。

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