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2014年 1月号 身元引受人の長男が「兄妹と会わせないで欲しい」と依頼
身元引受人の長男が「兄妹と会わせないで欲しい」と依頼

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利用者の子からの面会希望を施設は制限できるのか?

■ある身元引受人からの依頼

 利用者Aさん(男性90歳・認知症なし)が特別養護老人ホームS苑に入所する際、キーパーソンであり身元引受人の長男から、「弟と妹は父の介護に対して協力していないので面会に来ても会わせないで欲しい」と依頼されました。施設では長男の依頼を了解し「兄弟の面会の要請や電話での問い合わせには一切応えない」と約束しました。ところが、数週間後に弟が訪ねてきてAさんとの面会を希望しましたが、「お兄さんに会わせないようにと言われている」と面会を断りました。

 しばらく経って今度は弟と妹が面会にやってきて「兄は父の資産や年金・生活費も自分のものにしており、父にそのことを伝えなければならない」と執拗に面会を要求しました。Aさんにも、面会の意思を確認したところ「会いたいけれど、長男から会わないように言われているので会えない」と言い、施設でも再度面会を断りました。

 弟と妹は市に対して苦情申立を行い「子が父と会う権利を侵害しており施設の面会制限は不当である」と訴えました。施設では「入所契約は任意契約であり他の兄妹との面会制限を約束しても問題はない」と主張しました。施設は利用者と親族との面会を制限できるのでしょうか?

施設は身元引受人の家族の意向で面会を制限できるか?

●高齢者施設は身元引受人の依頼で他の兄弟の面会を制限できるか?

 私たちは基本的人権の下で人と面会する自由を保障されていますので、感染症法や精神福祉法などの例外措置を除きこの権利を制限されることがありません。ですから、たとえ身元引受人の家族であっても、正当な理由なく利用者の面会を制限することはできませんし、たとえ家族の依頼であっても施設はこれを受けてはいけません。施設が利用者の面会制限ができると定めているのは、高齢者虐待防止法13条における虐待を行った養護者に対する面会制限だけです。また、通常身元引受人の家族は利用者に近い関係にあり、他の親族を排除する理由には利用者の資産をめぐるトラブルが多く、施設では慎重な対応が必要です。

●面会制限より兄妹の訴えが大きな問題

 このケースでは、兄妹が主張する「兄が父の資産や年金を自由にしている」という問題に注目しなくてはなりません。つまり、兄妹は「養護者による経済的虐待である」と訴えているのです。施設では兄妹の訴えや利用者の話から、長男による経済的虐待を疑い、関係部署へ通報するなどの措置を考えるべきでしょう。なぜなら、高齢者虐待防止法には「養介護施設従事者などは高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、高齢者虐待の早期発見に努めなければならない」とあるからです。

 最近では、家族関係のトラブルから施設に親族の面会制限を依頼してくるケースなどが増え、身元引受人の家族からの依頼であれば施設としても判断に苦慮します。しかし、このような利用者の人権に絡む問題については、毅然とした態度で臨み、場合によっては家族から利用者を守ることも必要になると考えなければなりません。

《参考》人が他人と面会することを制限できるケース(主なもの)

  1. 医師の判断で療養上・診療上必要と判断された場合(面会謝絶など)
  2. 感染症法に定められた感染症の罹患による場合(ただし、診断が確定してない時点で隔離はできない)
  3. 高齢者虐待防止法やDV防止法で、面会制限の措置や家裁の接近禁止命令を受けている者
  4. 精神福祉法における精神患者への医療・保護の限度において、医師の判断で面会を制限される場合
    (ただし、信書の発受と人権擁護行政機関の職員との電話と面会はいかなる場合でも制限できない)
  5. 拘留中または拘置中の被疑者などが外部の人や弁護士と面会する場合
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