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2013年 9月号 事故を起こした職員にも謝罪をさせるという決まり
事故を起こした職員にも謝罪をさせるという決まり

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<事例から学ぶ> 介護事業者の事故対応

職員に謝罪させることの意味

 ある特養では事故が起きて利用者がケガをしたような場合、事故を起こした職員が家族へ謝罪する規則になっています。理事長や施設長の考えで作った開所時からの決まりで、「事故を起こした職員は責任を感じて再発防止への意識を高く持ってもらうため」という目的だそうです。
 ある時、職員が利用者Xさんのベッドから車椅子への移乗介助をしました。ところが、職員がXさんの身体を抱え上げ車椅子に座らせようとした時に、フットレストにXさんの足が引っかかり身体が傾き転倒させてしまいました。受診したところ、幸い右手首の捻挫だけで済みましたが、家族に電話で報告し謝罪しました。
 事故後にXさんの家族が来所される時、施設長が事故を起こした職員と一緒に家族と面談し、改めて事故の謝罪をすることになりました。面談でXさんの息子さんご夫婦に施設長は次のように話しました。「今回は職員のミスでお母様にお怪我をさせ大変申し訳ありませんでした。ベテランですからこのようなミスがあってはならない職員ですが、今回は注意力が足りなかったそうなので厳しく指導しました」
 すると、Xさんの息子さんが答えました。「母は職員さんのミスではないと言っています。母の車椅子は足置きが開かないため、以前から足がぶつかり危なかったそうです。お隣の方の車椅子は、乗り移る時に肘掛も足置きも上がるタイプの新型だそうです。なぜ、同じような麻痺なのに車椅子がこんなに違うのですか?事故の原因は古い車椅子です。職員さんは良くやってくれています。職員さんを責めないで下さい」と。施設長の「本人に責任を感じてもらいたい」という意図に反して、「責める施設長に対して家族が職員をかばう」という構図になってしまいました。

どのように対処すべきだったのでしょうか?

職員個人による謝罪は施設の責任を軽視していると思われる

[事例から学ぶ対応のポイント]-事故の謝罪は基本的には管理者の役割-

■職員に謝罪させると家族はどう感じるのか?

 事故に関わった職員本人に謝罪をさせるケースもありますが、基本的には好ましくありません。職員が個人的に謝罪することで、「組織の責任をごまかしている」「管理者が責任逃れをしている」という印象を与えてしまうからです。施設の業務は組織で運営されていて、個人の力で行っているものではありませんから、組織運営の不備が事故の原因という捉え方が必要なのです。ですから、職員のミスが原因で起こったような事故であっても、管理者は「事故が起こったのは私の指導が足りなかったことが原因ですので、私の責任で再発防止対策を講じていきます」と説明すべきなのです。
 また、利用者や家族と介護職員の信頼関係が強いと、家族が職員をかばうような言動に出ることがあり、「あなたも大変な目に合ったわね、気にしないでね」などと職員を慰めたりします。何も知らない人が聞けば、「ひどい施設で働かされている職員」と受け取られかねませんので、事故の謝罪は施設管理者の役割と心得なければなりません。

■職員個人の謝罪が必要なケースとは?

 事故の謝罪は施設管理者の責任で行うのが好ましいのですが、職員個人の謝罪が必要になる場合もあります。主に次のような場合ですが、あくまでも例外的なケースです。
 (1)職員のミスが原因で事故が発生し、死亡事故のような重大事故となった場合
 (2)職員のルール違反や故意に危険な行為をして事故に至った場合
 (3)誰もが呆れるような初歩的なミスや考えられないような不注意から起きた事故の場合
 これらの事故に共通するのは、施設長の謝罪だけでは家族の気が済まない、納得できないという家族感情があることです。つまり、「家族の感情に配慮すると個人の謝罪が必要なケースもある」という意味で、上記のケースで必ず職員の謝罪が必要という訳ではありません。

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