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2012年 11月号 ショートステイの誤薬事故で経過観察中に急変
ショートステイの誤薬事故で経過観察中に急変

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他人の薬を誤って服用し自らの薬も服用すると

「利用者の身体に重大な影響はないと判断」

ある特養のショートステイの朝食後の服薬時に、利用者の取り違えによる誤薬事故が発生しました。
利用者Tさん(女性92歳、体重32kg)は自らの薬を服用した上に、同じ姓の利用者Yさん(女性66歳、体重55kg)の薬を誤って飲まされたのです。誤薬した看護師は家族連絡をすることもなく、Tさんの身体に重大な影響はないものと判断し、経過観察の対応としました。しかし、経過観察中にTさんは意識不明となり、病院に救急搬送されました。病院での処置が早く一命は取り留めましたが、その後1ヶ月間の入院はTさんの重大な身体機能低下を招きました。家族は看護師を業務上過失傷害の疑いで、刑事告発しようとしています。なぜ、看護師は受診せずに経過観察としたのでしょうか?

    Tさんが飲んだ薬:( )内は一般薬名

    Tさんが間違って飲んだ薬:ラシックス錠(フルセミド錠)40mg、アクトス錠(ピオグリタゾン塩酸塩錠)30mg
    Tさん自身の服薬:ワーファリン錠(ワルファリンカリウム錠)5mg、アリセプト錠(ドネペジル塩酸塩)20mg
    Tさんの疾患名:アルツハイマー型認知症、多発性脳梗塞、狭心症
    【薬効】ラシックス:高血圧症、アクトス:糖尿病、ワーファリン:脳梗塞、アリセプト:認知症症状の進行抑制

誤薬した薬がその人の身体に与える影響は多様で予測できない
《誤薬した薬がその人の身体に与える多様な影響》

誤薬した薬はその人の身体にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか?誤薬した利用者の自らの服薬・疾患・体格・食べた物などによって影響が異なります。その影響は多様で主なものをまとめると次のようになります。

  1. 高齢者に多い高血圧症や糖尿病の薬を誤薬すると、低血圧や低血糖を起こす可能性があります。
    ・ラシックスは薬効の強い血圧降下剤であり、一般の成人であっても低血圧状態になるおそれがあります。
  2. 誤薬によって間違って飲んだ薬と自らが服用している薬の相互作用で副作用が起こる可能性があります。
    ・アクトスとワーファリンを併用すると、アクトスの血糖降下作用が増強され強い低血糖を起こすおそれがあります。
  3. 誤って飲んだ薬がその人の疾患に対して悪影響を及ぼすことがあります。
    ・ラシックスは強い利尿作用によって、Tさんに血栓塞栓症を誘発するおそれがあります。
  4. 高齢者では体格や年齢により処方量が異なり、処方量の多い人の薬を誤薬すると影響も大きくなる。
    ・Tさんは体重が32kgに対してYさんは55kgです。Yさんの処方量は多くTさんの身体への影響が強くなります。
  5. 高齢者では少量から投与し処方量を増やす薬もあり、いきなり規定量を服薬すると影響が強くなります。
    ・アクトス、ラシックス共に「高齢者へは少量から投与を開始し経過を観察しながら増量する」と記載があります。
なぜ看護師が刑事告発されるのか?

間違えて飲んだ薬がその利用者の身体にどのような影響を与えるかを判断する行為は医師法上の「診断」に該当し、診断という医療行為を許されているのは医師だけです。
看護師がこの「診断」という医療行為を行なうことは医師法違反であり、法に違反して人に傷害を負わせれば、業務上過失傷害として刑事責任を問われる可能性があります。

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