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2011年 9月号 えん下機能が正常な利用者が誤えん事故、なぜ?
えん下機能が正常な利用者が誤えん事故、なぜ?
-死亡につながりやすい誤えん事故-

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えん下機能に障害がなければ誤えんの危険は低いか?
○片麻痺の利用者Hさんの誤えん事故

イメージ画像1  脳梗塞の後遺症で右片麻痺の男性利用者Hさんは、左利きなので箸を使って自分で食事をすることができます。食欲も旺盛で毎日の食事を楽しみにしていました。ある日、他の利用者の食事を介助していた介護職員が、後ろの席のHさんの方を振り返るとHさんの様子がおかしいことに気付きました。車椅子上で両手を横にダラっと伸ばして上半身が右に傾いてチアノーゼが出ています。
 介護職員は「誤えんです!」と大声でナースを呼び応急処置をしましたが、心肺停止状態で心肺蘇生と救急車の要請を行いました。ナースと相談員が救急車に同乗し病院に救急搬送しましたが、病院到着後間もなく死亡が確認されました。救急車で搬送中に車内で吸引が施され、気管から里芋や人参など野菜の煮付けが出てきました。
 Hさんは、最近になって「少し飲み込みにくい、飲み込むのに時間がかかる」などの訴えがあったため、5ミリ角程度の粗キザミに食事形態を変えたばかりでした。病院に駆けつけてきた家族に対しては、施設長が「Hさんは誤えんを起こすような、えん下状態ではなかったので、見守りをしていませんでした」と謝罪しました。

片麻痺や認知症も誤えん事故の大きな原因になる
○片麻痺の利用者は誤えんの危険が高くなる

 脳卒中などの後遺症で片麻痺の障害がある利用者は、唇・頬・舌など口腔内の部位の運動機能も片麻痺になります。また、右麻痺の利用者で構音障害や失語などの障害のある利用者は、様々な口腔機能の障害があります。これらの口腔内の機能が低下した利用者は、えん下の機能を円滑にするための“食塊形成(※)”という運動ができなくなります。すると、口腔内で噛み砕いた食べ物がまとめられずバラバラになり、 気管に侵入しやすくなるため、誤えんの危険が高くなります。

※食塊形成:食べ物を円滑に飲み込むためには、細かく噛み砕いた(咀嚼した)食べ物を唾液と混ぜて塊を形成することが必要で、これを食塊形成と呼びます。この食塊を舌の上に載せて咽頭の奥へ運ぶことで、えん下が可能になります。

○認知症の利用者は誤えんの危険が高くなる

イメージ画像2  認知症の利用者においては、食べ物をたくさん口に詰め込んで窒息する事故が時々起こります。認知症によって、「安全に食べ物を食べる方法」という認識が欠落してしまうので、危険な食べ方をするようになるのです。一度に食べ物を詰め込めば喉に詰まりますし、パサパサの食べ物は飲み物と一緒に食べないと喉に詰まります。このように認知症の利用者は安全な食べ方ができなくなることで、誤えんや窒息の危険が高くなります。

上記のように片麻痺や認知症も誤えんの原因となりますから、特養や老健のほとんどの利用者が健常の高齢者に比べ誤えんの危険が高くなります。ですから、食堂全体を見守る要員を配置し様子のおかしい利用者を早期に発見しなくてはなりません。見守りのない利用者の誤えんは死亡事故につながるからです。

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