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2011年 8月号 点滴施行中に突然奇声を上げてベッドから転落!
点滴施行中に突然奇声を上げてベッドから転落!
-認知症はないのにBPSD?-

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突然のベッドからの転落事故、本当の原因は何か?
点滴中のJさんが奇声を上げてベッドから転落、その原因は?

イメージ画像1  Jさんは92歳で老健入所の男性利用者です。脳梗塞の後遺症で重い左片麻痺があるものの、認知症は全くありません。ある時、少し風邪ぎみで微熱が続いた後食欲が落ちたため、デイルームの一画をカーテンで区切った静養室で点滴施行することになりました。その日は、1日中点滴を入れていたため食事もせず、終日ベッドで仰向けのまま過ごしました。食事をしないので総入歯は装着せずに、上を向いたまま1日の大半を眠って過ごしました。  午後5時頃、看護師が部屋にベッドを戻そうとした時、Jさんは突然ベッドから起き上がり、立ち上がるようにしてベッド柵から身を乗り出し、大声で奇声を上げながらあっという間にベッドから転落してしまいました。逆さの状態で床に転落しましたが、幸い上腕骨が骨折しただけで大事故には至りませんでした。担当の看護師は、事故報告書の事故原因の欄に「かなり高齢で過去に脳梗塞発作の既往歴が4回あり、認知症を発症しているかもしれないので、今後行動を十分注視していく」と書きました。  しかし、Jさんにはその後も認知症らしき症状や行動は、全く現れませんでした。Jさんのベッドからの転落事故の本当の原因は何だったのでしょうか?

舌根沈下による低酸素状態からせん妄を発症していた
○Jさんの転落事故の検証

イメージ画像1  高齢で全く認知症のない利用者に突然の異常な行動が現れた場合、通常はせん妄の発症を疑います。高齢者の脳血管障害による認知症の発症においても、突然異常な行動が現れることはほとんどありません。認知症の発症は、昨日のことを忘れたり時間や場所がわからなくなるなど、主に記憶の障害から徐々に時間を経て進行して行きます。ですから、Jさんのこの突然の奇声とベッドから落ちた行動は“せん妄”と考えるべきなのです。  では、Jさんは何のきっかけもなくせん妄を発症したのでしょうか?せん妄の原因は不安などの心因的要因と、持病の悪化による体調不良など身体的要因が多いと言われています。その後の検証で、Jさんのせん妄は体調不良が原因と考えられました。ただし、風邪や低栄養が原因だったのではありません。Jさんのせん妄の原因は、舌根沈下による低酸素状態だったのです。  施設利用者の多くが眠る時に総入歯を外してしまいます。ところが、仰向けの状態で総入歯を外して眠ると、舌の位置が安定せず舌の根元が喉の奥に沈みこんで、気道を遮るため低酸素状態を起こします。総入歯は舌の位置の安定のために重要な役割をしているのです。私たちも仰向けで眠っている時は、舌を上歯茎と前歯の裏に軽く押し付けているので舌が安定しているのです。  入れ歯は、単に食べ物を噛むための道具だけではなく、高齢者の動作能力全般に大きな影響を及ぼします。ちなみに、機能訓練室で試してみれば分かりますが、高齢者は総入歯を外すと歩行が不安定になります。

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