業種別News

介護RMニュース

オリジナルファイルのダウンロード(PDF)

■デイの外出レクリエーション中の誤えん事故

 居宅で生活する介護保険利用者O氏(69歳・要介護3)は、平成27年10月13日からお泊りデイサービスの利用を開始しました。ところが、11月25日に同デイサービスで行われた外出レクリエーションにて、焼き肉を誤えんし、救急搬送され、そのまま意識不明となりました。すると、O氏の妻は誤えん事故はデイサービスの過失であるとして、約8000万円の賠償金の支払いを求めて訴訟を起こしました。訴訟において原告(妻)は、「O氏は過去に誤えんによる入院歴があり、嚥下機能に障害があった。焼き肉店での外食レクはデイサービスの安全配慮義務違反である」と主張しました。これに対して被告(デイサービス)は、「10月9日に開かれたサービス担当者会議でも、ケアマネジャーから誤えんの入院歴の情報提供は無く、フェイスシートにも“食事摂取は自立、食事形態は普通食”と記載があり、誤えんの危険は認識できなかった」と反論しました。ところが、原告は「デイサービスは、ケアマネジャーからの情報提供が無くても、直接家族に対して入院歴等を尋ねるべきであり、これを怠ったことは過失である」と主張するのです。確かに事業者はサービス提供開始時に、利用者の心身の状況について的確な情報収集を行い、適切なサービスを提供する義務があります。しかし、ケアマネジャーからの情報提供が無くても、敢えて事業者自ら家族に「過去に誤えんで入院したことがありますか?」と尋ねる義務があるのでしょうか?

ケアマネージャーとの「事業者連携」とは?

■争点は事業者のリスクアセスメント
 
介護保険制度では、利用者の基礎情報についてはケアマネジャーから事業者に提供されるのが事業者連携の基本です。服薬による禁忌食があってもケアマネジャーからの情報提供がなければ、事業者はこれに配慮することはできません。ですから本件でも、ケアマネジャーから情報提供が無かったのですから、事業者は誤えんのリスクに対して配慮することは困難です。

ところが、本件訴訟で原告側は「事業者は利用者の心身の状況の把握に努めなければならない」と法令で決められているのだから、事業者が家族に誤えんの入院歴を確認すべきだと主張するのです。介護事業者としては、ケアマネジャーによる利用者の入院歴の情報提供は当たり前であり、入院歴の情報がなければ「入院したことは無い」と判断し自ら家族に尋ねることはしません。ケアマネジャーの情報提供を信頼することは、介護保険制度の前提なのです。

■215カ所のショートステイを調査して立証
 
裁判所は原告の主張と被告の主張のどちらに妥当性があるかを判断します。本事例のデイサービスからの相談を受たコンサルは、事業者の無過失を立証するため、215カ所のショートステイを対象に「ケアマネジャーから誤えんの入院歴の情報が無くても、家族に誤えんの入院歴を確認するか?」というアンケート調査を行ったのです。結果「確認しない」というショートステイが205施設で、全体の97%を占めました。この調査結果を法廷に証拠として提出した結果、本訴訟は1000万円の和解金で終結しました(事実上の勝訴)。事業者側の主張の根拠をしっかりと立証し、かつ、裁判所が納得しうるものでなければ訴訟に勝つことは厳しいのです。      

  監修 株式会社安全な介護 山田 滋             ※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

 


【最近5件のニュース】

≫ さらに過去のニュースを見る

TOPページへ戻る

おすすめコンテンツ

  • 地域AD倶楽部
  • ベルマーク運動
  • 運送ラボ
  • 建設ラボ
  • フード&アグリラボ
  • ケア・フレンズ
  • ベストケアサポーターのご紹介
  • eco now
  • インターリスク総研