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■認知症のおばあちゃんは可愛い

 専門学校を卒業し4月に入社した女性介護職員Aは特養に配属されました。ある晩、Aは夜勤職員として就寝の介助をしていました。認知症のある女性利用者Mさんの居室で、なかなか寝ようとしないMさんにおもしろ半分で髪にリボンを8つ結びました。そしてMさんの顔をスマホで写メして、自分のブログに載せたのです。写真には「認知症のおばあちゃんは可愛い」と書き込みました。

 Aは自分のブログに施設名を実名で掲載していたため、Mさんの孫が施設名で検索した時にこのブログを発見しました。祖母の写真を見つけた孫はすぐにお父さん(Mさんの息子さん)にこのことを知らせました。激怒した息子さんは施設長に強く抗議をおこない「この介護職の行為は個人情報の漏洩だ、訴訟を起こす」と言いました。施設長は、「認知症のお母様の髪の毛にイタズラをする行為は虐待行為に該当します」と息子さんに説明し、市役所に虐待事件として通報し、個人情報の漏洩事故としても事故報告をしました。施設では、介護職員Aを懲戒解雇処分とした上で、謝罪し賠償金の支払いを申し出ましたが、息子さんはこれを辞退しました。


■なぜ施設長は虐待行為と判断したのか?

 判断能力の無い認知症の利用者の髪に、おもしろ半分にたくさんのリボンを付けて写真に撮る行為は虐待行為に該当します。施設長が適切な対応を行ったため、息子さんも理解を示して訴訟を思いとどまりました。本人が肉体的・精神的な苦痛を感じなくても、その人の人格を貶める行為は虐待行為と認定されます。
 12年前、特養で認知症の利用者に性的な暴言を吐き家族に録音されるという前代未聞の事件が起こりましたが、市はこの行為を性的虐待と認定しました。認知症の利用者本人が暴言を理解できなくても、人格を貶める行為は、人の尊厳を損なう人権侵害であり虐待行為なのです。
 また、ブログに認知症の利用者の写真を掲載するという行為は、個人情報の漏洩に該当しますが、その被害の大きさは健常者の個人情報の漏洩と比べ深刻です。なぜなら、知的なハンディのある人の個人情報は、プライバシー性の高いセンシティブ情報でその漏洩は人権侵害とみなされるからです。

■再発防止策は職員への倫理教育研修?

 さて、Mさんの息子さんは施設長の適切な対応に対して、寛容な対応をしてくれました。しかし、問題は再発防止の対策です。市役所に対しては、再発防止策として「職員への倫理教育を再度徹底する」と研修内容も一通り記載して提出しましたが、施設長は悩んでしまいました。倫理観はその人の成長過程で身に付けるものであって、短期間の研修で教育することは難しいからです。また、最近大きな問題になっているSNSへの会社業務に関する書き込みなど新しいリスクも増えていますから、全てを規制する研修は難しいと言えます。
 悩んだ末施設長は、社員の不祥事などをネットで探して、一覧表にして何が不適切なのかを考えてもらう研修を行いました。その他にも、懲戒処分の対象とはならないが職員として不適切な行為の事例を作り、職員の研修会で一緒に考えました。

                           

  監修 株式会社安全な介護 山田 滋             ※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

 

 


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