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2014年 3月号 既存版の長期優良住宅、来年度中に告示化
今月のポイント

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国土交通省が2月上旬に意向を示す

イメージ
ムク材がアピールポイントの住宅(イメージ)

 今回は、先月末で応募が締め切られた国土交通省の補助事業・長期優良住宅化リフォーム推進事業と大きく関係する、既存住宅を対象とした長期優良住宅の認定制度設立の動きを説明させて頂きます。関係機関の認定を受け、税制優遇措置の対象となる新築を対象とした認定長期優良住宅については、皆さんご存じのことと思います。この認定長期優良住宅の対象に現在はまだない「既存住宅」が加えられるおおよその時期が、2月上旬に固まりました。所管行政庁である国土交通省が告示時期の見込みについて、「2015年度中」との意向を示したのです。正式決定ではありませんが、時期的メドは、ほぼこうなることでしょう。
 以下、長期優良住宅化リフォーム推進事業との関係を交え、既存住宅版の認定長期優良住宅の制度化の動きを説明致します。

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存制度化の前哨戦

 回りくどくなり恐縮ですが制度全体の理解のため、認定長期優良住宅の既存住宅版が、なぜ新築版と一緒に具体化されなかったか、その基礎情報の紹介から始めさせて頂きます。
 現在、新築版に限り確立されている長期優良住宅の認定制度ですが、長期優良住宅の認定制度全体は、2006年施行の住生活基本法の基本理念である「新築からストック(=中古住宅のことです)重視の住宅政策への転換」に基づき2009年6月に施行された、長期優良住宅普及促進法(国土交通省が使う名称は「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」)を制度創設の根拠としています。
 長期優良住宅普及促進法はその制定にあたり、既存住宅を対象とした認定制度の準備は新築と同一時期までに整わないことが明白だったため、制定時に附帯決議として「既存住宅への長期優良住宅の認定の在り方等について検討を行うこと」との文言が付けられました。その理由は、経年劣化がゼロの時点で長期優良住宅の性能基準に建物の諸性能が適合するか否かを検査する新築住宅と異なり、既存住宅はその劣化状態が家々で千差万別なため、どうやってインスペクション(=検査)をすると劣化状態を適切に把握できるのかといったインスペクションの基準作り、リフォーム後の住宅性能をどのような基準とするのが妥当かのという性能評価基準作り、また、提示した基準に業界の施工力で果たした対応できるのかなどの検討に、どうしても一定の期間が必要なためでした。このため附帯決議で「既存住宅の認定制度は、しばらく後にさせて下さいね」と言っていたのです。
 この「後にさせて下さいね」の状態が動いたのが、2013年6月に閣議決定した「日本再興戦略」においてでした。この中で認定長期優良住宅の既存住宅版の評価・認定基準素案確立のメドを2013年度中に固める方針が決定、その「素案」が今年の2014年2月末にできあがったのです。
 今回の長期優良住宅化リフォーム推進事業には、この「素案」が事業活用の応募要件に組み込まれています。つまり長期優良住宅化リフォーム推進事業は、正式な要件として整備する叩き台である第1段階の「素案」に住宅業界がどれほどの対応力を持っているかを確かめるという目的で実施されると共に、業界に対して「近いうちにこの『素案』を軸にした認定長期優良住宅の既存住宅版の制度を作るので、事業対応の準備に役立てて下さいね」という意味が含まれています。

来年度の補助事業活用の「高い方の基準」が正式基準の最終素案

 では、認定長期優良住宅・既存住宅版の正式な要件となる性能基準は、どのようなものになるのでしょうか。それは、長期優良住宅化リフォーム推進事業の「S基準」のレベル感です。この補助事業は応募要件として、S基準より性能が低いA基準というレベルもありますが、A基準が認定長期優良住宅・既存住宅版の正式な認定基準レベルにスライドする可能性は、まずありません。そうわかるのは、国土交通省の姿勢からです。
 国土交通省は2015年度も、2014年度事業として先月末に応募を締め切った長期優良住宅化リフォーム推進事業とほぼ同じ内容の補助事業を実施することを、既に正式決定しています。そして報道機関や民間事業者団体との非公式な質疑応答の中で、「今回の補助事業は、応募要件であるA基準と、A基準を上まわるS基準で、補助金の最大交付額を共に同じ1戸100万円とした。しかし来年度の補助事業では例えばA基準最大100万円、S基準は最大200万円など、事業活用要件のうち高い方の性能基準に補助金をより厚く交付したいと考えている」と内情を吐露しています。
 繰り返しになりますが、国土交通省にとって長期優良住宅化リフォーム推進事業は、認定長期優良住宅・既存住宅版の認定制度確立に向けた前哨戦の意味合いがありますから、この「高い方の性能基準」とは、認定長期優良住宅・既存住宅版の正式な認定性能基準を強く意識した基準であることは明白で、その交付額をより大きくして差を付けることで、業界の施工技術のレベルを「高い方の性能基準」に誘導しようという意図を今から示しているのです。
 冒頭の話に戻ります。国土交通省は認定長期優良住宅・既存住宅版の告示時期のメドについて、「2015年度中」との意向を示しました。その告示の具体的な日取りは間違いなく、2015年度に実施する長期優良住宅化リフォーム推進事業(名称は変わる可能性があります)より後になります。これを先の同省の意図と総合して考えると、2015年度に行われる長期優良住宅化リフォーム推進事業で提示される事業活用要件のうち、「高い方の性能基準(2014年度の今回の補助事業では「S基準」が該当)」は、認定長期優良住宅・既存住宅版の正式な性能評価基準の国土交通省としての最終素案の位置づけになるという推測が導き出せます。
 上記の最終素案に基づいたリフォーム施工を初めて経験した会社と、その後に遅れてできる正式な基準を元にリフォーム施工を初めて経験した会社では、前者の方が認定長期優良住宅・既存住宅版の市場に早く参入できる可能性が高まります。ご存知の通り市場における自社事業のシェア拡大は、参入が早い方が有利です。今回の補助事業には応募しなかったものの、将来的に認定長期優良住宅・既存住宅版を自社の商品メニューにラインアップしようと考えている事業者の方は、来年度に実施される長期優良住宅化リフォーム推進事業は、絶対に活用すべきと言えるでしょう。

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