経営お役立ちニュース - バックナンバー

2015年 9月号 2035年を乗り越えることができる法人になるために
今月も、医療・介護事業者の皆さまへ「経営にお役に立つ情報」のご提供をメール送信させていだだきます。 是非ともご覧ください。
2035年を乗り越えることができる法人になるために

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始まった「2035年ケアビジョン」の具体的策定

 皆様ご承知のとおり、2025年は、昭和22年から24年生まれの団塊の世代(もっと広い解釈もあります)が、75歳以上になり始める年であるわけですが、その10年後の2035年は団塊の世代の国民が亡くなり始める年と言われています(そしてその後には、「団塊ジュニア」世代の大きな山がもう一回来ます)。そのため我が国では、団塊の世代を財政問題と権利擁護問題の前輪後輪として適切に看取ることが政策課題といえます。厚生労働省では、2025年より先を見据えた検討も進めており、8月6日、2035年を視野に入れた医療や介護の改革を具体的に話し合うため、局長以上の幹部でつくる内部会議を新たに立ち上げた。9月をメドに工程表をまとめ、その後の取り組みに反映させていく考えを明らかにしています。
 この内部会議は、20年後の医療・介護を議論してきた若手の専門家を中心とした検討会が、今年6月に提言(「保健医療2035提言書」)をまとめたことを受けて設置された。提言は、サービスの質の向上と費用の抑制を同時に達成するためのものを中心に、およそ120項目の施策を展開するよう要請しています。本年から数えること20年後の医療・介護事業者の「経営モデル」を垣間見たときに、各経営者の皆様はどのような戦略を策定するでしょうか?経営者が見るべき現実は政策動向そのものでなければなりません。

地域包括ケアシステムをシンプルに考える…

 我が国だけではなく欧米先進国はそのほとんどが、医療・介護福祉の政策モデルは「地域包括ケアシステム」の整備しかないと考えています。なぜなら、すでに先進国の多くでは疾病転換が起こっており、医療サービスの主要な利用者は「急激な症状悪化に対し短期的な介入で治癒できる急性期疾患患者ではなく、慢性疾患を持つ高齢者になっている」からです。そしてこの方法を本格的に実行しなければ国が持たない状況になった世界初の国が日本です。
 「地域包括ケアシステム」をシンプルに表現すると「徹底的に医療費を低く抑制することが可能な医療介護システム」です。また、「可能な限り入院状態を回避させる仕組み」、「極限まで施設の手段生活を回避させる仕組み」とも言い換えられるでしょう(可能な限りですから施設は在宅で療養できるように必要なサポート・受け入れを行う役割になります。シェルター機能、一時避難場所です)。できるだけ医療費がかからなくさせるということを真剣に検討した時に、何が見えてくるか?
 2018年の診療報酬・介護報酬ダブル改定では、まことしやかに「医療と介護の統合が最大のテーマ」と言われております。私見ですが、医療を持たない事業者は生きていけるのだろうかという疑念が湧きます。私もクライアント様と広報営業支援で現場を回ったりしていく中で、あるいは事業戦略を策定支援する中で、痛感するのは、結局、「訪問診療・在宅医師」の必要性です。

「在宅医療に取り組む医師は少ない」という嘆きを解決するために

 「地域包括ケアシステム」の実務は、「訪問診療医師人口の増大」がなければ画竜点睛を欠きます。そして、「もし、訪問診療事業」を手に入れたら、大変なことが起こることは容易に想像できます。上手に行うと優れた高収益モデルの確立が可能です。「医師ではない経営者」からみると、「訪問診療事業」は、国の政策の具現化と自法人の安定した構築の心臓部とすることが可能なものであることが調べていただくとすぐに理解できると思います。しかし、公立病院は手掛けないですし、公的病院等(日赤・JA・済生会等)もやりません。「医師会がやってくれるのでは・・・」というセリフが出てくるのがお決まりです。私的医療機関の大病院も中小病院も徹底的な取り組みをしているというほどではありません。ということは、まだまだブルーオーシャンであり、かつ「地域包括ケアシステム事業者」としては、必要不可欠の事業が眠っているようなものといえます。自ら、医師をリクルーティングし、医療法人を立ち上げるのか。はたまた、徹底した渉外・広報・営業プロセスを組み立てて、地域の診療所の先生を在宅医療に頑張っていただけるよう強固な連携実現を図るか。どちらかです。道は困難そうに見えますが、成功させているオーナー(医師ではない)、が存在しています。
 今までは、皆が、医師を避けていました。ビジネスモデル構築上も、現場の業務的にもです。医師が苦手なケアマネージャーが多いとも言われてきました。しかし、真摯に「地域包括ケアシステム」を担うためにどのような展開を自法人はしていくべきか?を経営戦略上、検討するとき、「訪問診療」は本気度の踏み絵になります。
 そして、この問題を真剣に検討すべき、第一の当事者は、医療療養病棟を主として経営するケアミックス病院の経営者であります。そして、次にリハビリ特化型デイサービスや訪問看護と訪問看護ステーションからのリハビリで成功を収めてきた株式会社経営者の方です。社会福祉法人も検討しなければならないところがあると思います。
 「医療介護統合」とは「ハイブリット経営」の要請ですが、その最後の砦が「訪問診療」の取り扱いとなるでしょう。

「保健医療2035提言書」

 前述した「保健医療2035提言書」の中に、非常に気になる文言があります。「個人の選択に応じた負担のあり方を検討する。例えば、後発医薬品でなくブランド薬を使用した場合の追加的な負担や、在宅でサービスを受ける場合と入院・入所によりサービスを受ける場合とで、異なる自己負担を導入することなどが考えられる。」在宅での医療や介護を個人が選択した場合、インセンティブとして自己負担額を施設・入所を選択した場合よりも低減化する方向性を検討するということのようです。また、2035年の死亡者数は1年間で166万人と推計されています。多くの高齢者はがんの末期でない限り、食べられなくなったり水分が飲めなくなってから延命治療により1年半以上延命措置を施され、「寝たきり」状態にさせられてお亡くなりになるのが今までの日本の現状ですが同報告書には次のようにも記載されています。また、2035年には死者が毎年160万人を上回る時代であることを踏まえると、「死」のあり方(quality of death)について、一人一人が考え、選択することも必要となります。特に終末期(人生の最終段階)について、意思能力のあるうちに事前指示(advance directive)として、自らの希望する医療やケア、療養場所に関して選択や意思表示をできるようにするといった、quality of deathの向上のための取り組み(望まない医療を受けないことや在宅療養の選択等)を進める。そのための啓発・教育活動を保険者や自治体、かかりつけ医が行う体制を確立する。」これはまさに、訪問診療が活発化することなしに、実務上実現しない重要政策テーマであるといえます。最後は「訪問診療」です。

[筆者] ウェルフェア―・J・ユナイテッド株式会社  専務取締役 谷本 正徳 氏

ウェルフェアー・J・ユナイテッド株式会社(URL:http://wju.co.jp/company)
〒163-0532 東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル32階 Tel:03-5322-1396

谷本 正徳 氏:プロフィール
福祉・介護・医療経営戦略コンサルタント
大手外資系食品メーカー、外資系コンサルティング会社、大手税理士法人マーケティング部長を経て、現職。医療法人や社会福祉法人等を対象とした2025年医療・介護統合経営モデル構築を中心としたコンサルティング業務に従事。従来から、社会福祉法人公募プロポーザル申請支援、内部統制・内部統治コンサルティング等に携わっており、近年は、2018年地域医療ビジョンと地域包括ケアシステム対応地域制圧支援コンサルティング、経営企画室機能強化コンサルティング、市場開発と新規事業広報営業支援等を中心業務としている。全国各地の都道府県社会福祉協議会や都道府県老施協、経営者協議会等にてセミナー講演多数。

※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。
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