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2015年 7月号 2015年は医療・介護事業経営のパラダイムシフト元年
今月より、医療・介護事業者の皆さまへ「経営にお役に立つ情報」のご提供をメール送信させていだだきます。是非ともご覧ください。
2015年は医療・介護事業経営のパラダイムシフト元年

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2015年は変革の年

 2015年は、医療法人・社会福祉法人・介護営利法人等にとって、革命的な年であることを経営者は認識せざるを得ないことが、政策形成の内容やプロセスから読み取れる状況になってきました。
 従来、医療や介護は厚生労働省が、緊縮財政を堅持する財務省とのせめぎ合いの中で、日本医師会に代表される業界団体との間合いを取る中、落とし所を決めて、政策・制度を策定し、運用していくのが通例だったと思います。厚生労働省は今まで、医療・介護を統制経済のルールの中で管理をしてきました。
 しかし、気がつくと、我が国の財政は超高齢化による医療・介護・年金支出の増大とそれを賄うための赤字国債発行の連続による財務残高の増大により世界で第1位の財務残高を抱える国になっていました。現在の日本の財政状況は第2次世界大戦末期の最悪だった財政状況と全く同じレベルにまで落ちているというのです。もはや社会保障のカテゴリーは厚生労働省だけのマターではないということもあり社会保障、なかんずく医療や介護のあるべき姿への改革の実行を、会社でいえば本社ともいえる官邸主導で断行するという流れになっているのです。

地域包括ケアの二つの顔とは…

 官邸主導の改革実現のプロセスは、経済財政諮問会議が推進機関となり、財務省と自民党総務会とのすりあわせの後、閣議決定により、「骨太の方針2015」を決定、2015年から2020年を「改革集中期間」としてメニューすべてを総当たりするというものです。医療・介護の改革の焦点は、「地域包括ケアシステムの構築による医療費削減モデル確立」です。私は「地域包括ケアシステム」には、二つの顔があると思っております。それは「感情と勘定」の二つの顔です。「感情」とは、多くの国民の願いである「住み慣れた我が家で重度になっても最期まで普通の暮らしを継続したい」という権利擁護の観点、いわゆる「人の感情」による要請です。
 もう一つの「勘定」とは、国の財政政策上の「膨張する医療費の縮減を断じて行わなければならない」という「財政上のソロバン勘定」の観点です。その意味で、超高齢国家の医療費縮減モデルは「地域包括ケアシステム」にしか解決策はなく、従って、医療と介護はボーダーレス状態で要介護高齢者や障がい者に対して、「おひとりの充実した在宅生活に必要なものはすべて一括で、包括的に提供しよう」というのが常識にならなければならない時代に入ったわけです。

あらたな競争時代へ突入

 医療と介護のボーダレス化は、いきおい我が国の医療や介護の常識を180度ひっくり返す価値観の変革を引き起こしました。国は、既得権益を破壊し、「地域包括ケアシステム」を創造することに決めたのです。
 枠組みは国が作りました。「地域包括ケアシステム」を創造する主体は誰か?保険者である市町村か?その答えを次のように決定しました。「民間の法人による自由競争の果てに自ずと整備されていくのが、地域包括ケアシステムである」
 そのためやむなく、3つあった法人格カテゴリー(社会福祉法人・医療機関・介護営利法人)を一つのビジョンの下、平等に競争させることとしたのです。すべてが同じ土俵で戦うのです。医療と介護は一体提供が常識化することから、医療介護を融合させるための法律改正を休みなく行ってきました。(2014年診療報酬改定、2014年地域医療介護総合確保推進法、2015年介護報酬改定、そして来る2016年診療報酬改定、さらに2018年診療報酬介護報酬ダブル改定)。医療・介護にかかる経営は他の産業とはその特徴が大きく異なり、与えられた統制下で公定価格でのサービス提供が主です。
 しかし、これからは医療介護経営に携わる方に求められるものは「まったく新しい価値観による商品設計・事業戦略の考え方」です。今までは、例えば1970年代モデルは「特養」運営で良かった、2000年から介護保険法が始まっても、社会福祉法人はその多くの法人が施設に籠城し、医療法人は老健+αで介護には興味がない、株式会社は、出来高制在宅系サービスといったように、それぞれの専門店がバラバラに、有機的な連動はなく、利用者にサービスを提供していた、というのが実情でした。

一本足打法の解消、総合事業の戦略を構築

 しかし、前述のように「大社会保障費抑制時代」に入ったことで、留意すべきは、介護保険も診療報酬も減額される。どうしよう?」ではなく、「最後の最後まで国が重要視するテーマは、カテゴリーは、サービスは何か?」ということあらゆる政策情報を集めて的確に先読みを経営者は行い、計画立案と実行に集中しなければならないということです。(国の立場からみて)どんなデイサービスが重宝されますか?どんなサービスを疑問視していますか?ということを考え、検証し、仮説を立案しなければなりません。また、「地域包括ケアシステム」政策の下、手掛けるべき事業は、最終的には(公立中学校区ごとに)、要介護高齢者、障がい者の「普通の暮らしを継続し楽しむために必要なサービスを何でもやる」気概が重要。
 医療保険・介護保険・自立支援給付・介護保険外サービスが「一つの窓口から、楽しい生活の継続に必要なあらゆるサービスが一括提供」される仕組み、これに上手に乗っかることを考えましょう。
 1日も早く、入院医療の一本足打法や介護施設の一本足打法はお早めに解消していただき、「複合事業家」としての戦略をお立てになられることを、お勧めいたします。

[筆者] ウェルフェア―・J・ユナイテッド株式会社  専務取締役 谷本 正徳 氏

ウェルフェアー・J・ユナイテッド株式会社(URL:http://wju.co.jp/company)
〒163-0532 東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル32階 Tel:03-5322-1396

谷本 正徳 氏:プロフィール
福祉・介護・医療経営戦略コンサルタント
大手外資系食品メーカー、外資系コンサルティング会社、大手税理士法人マーケティング部長を経て、現職。医療法人や社会福祉法人等を対象とした2025年医療・介護統合経営モデル構築を中心としたコンサルティング業務に従事。従来から、社会福祉法人公募プロポーザル申請支援、内部統制・内部統治コンサルティング等に携わっており、近年は、2018年地域医療ビジョンと地域包括ケアシステム対応地域制圧支援コンサルティング、経営企画室機能強化コンサルティング、市場開発と新規事業広報営業支援等を中心業務としている。全国各地の都道府県社会福祉協議会や都道府県老施協、経営者協議会等にてセミナー講演多数。

※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。
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