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2015年 11月号 条件付きの遺言書
条件付きの遺言書

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<事例>

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A様はお父様を亡くされ、相談にみえました。お父様の相続人は長男であるA様、二男B様、長女C様、そして奥様である乙様の計4人です。A・B・C様の実のお母様は早くに亡くなり、乙様は後妻でお父様との間にお子様はいらっしゃいませんでした。
乙様は5年くらい前から寝たきりで施設で暮らしているそうです。A様によると、お父様と乙様がご結婚されたのはA・B・C様が成人してからで、A・B・C様と乙様とは、実の親子のような間柄ではないものの、親子としてお互いを尊重し合っている関係であるとの事でした。現在、寝たきりの乙様のお世話はC様が行っているそうです。
また、A・B・C兄弟間では、A様とC様とは連絡を取り合っているものの、B様とは連絡がとれないことはないが、疎遠で正直あまり仲は良くないということでした。
相続財産は預貯金、不動産ですが、不動産については賃貸に供しており、毎月家賃収入が入っておりました。
お父様は遺言書を遺されていました。それによると、第1条に、すべての財産を子のA・B・Cの3人で3分の1ずつ相続させるとあり、第2条には、相続人A・B・Cは、賃貸に供している不動産から得る家賃収入の内、乙が亡くなるまで毎月一定額を乙に渡さなければならないとありました。
A・B・C様が相続を受けるに当っての条件が付されていたのです。このような条件が付されている以上、不動産はA・B・C3人で今後も管理していかなければならず、売却することはできません。売却しても同じ一定額を払えばいいのではないかとも考えられますが、お父様は乙様への定期的な給付が滞りなく行われるように、家賃収入という定期的な収入を用意したのですから、故人の遺志に鑑みても売却換金はできないのです。

<解説>

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お父様は寝たきりの乙様に財産を遺してもどうにもできないことから、財産については子供たちに託して有効に活用してもらい、その代わり、子供たちに乙様の面倒をこの先も見続けるよう命じたのです。
自分がいなくなれば、実の親子ではない乙様とA・B・C様との間が疎遠になることを前もって封じたのです。
さらに、A・B・C3人で不動産を管理させ、同じ扶養義務を負わせることで、兄弟間で連絡を取りあうことを奨励したのでしょう。あまり仲が良くないA・B間を諭しているようです。
A様を遺言執行者に選任し、遺言に基づき順調に手続きを進めていくことができました。

ポイント

 遺言書には条件を付けることが出来ます。どういうことなのか、解説します。

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●単純遺贈と負担付遺贈

 遺言で受遺者に何らかの負担を課して、財産的利益を与えている場合が負担付遺贈となり、負担が課されていない場合が単純遺贈となります。
 負担付遺贈の例として、『住宅ローンを引き受ける代わりにその家をあげる』『飼っていたペットの面倒をみてもらう代わりに、いくらをあげる』などです。
 今回の事例の場合、もしこの遺言書がなければ、A・B・C様に乙様を加えた4人で遺産分割協議をしなければならず、乙様に協議する能力がなければ、成年後見人の申し立てをしなければなりませんでした。さらに、乙様に成年後見人が選任されれば、相続財産の半分(法定割合)を寝たきりの乙様が相続することになり、財産の有効な活用もできないところでした。

●負担付遺贈の義務を履行しない場合

 負担付遺贈で、受遺者がその義務を履行しない場合には、他の相続人や遺言執行者などが、相当の期間を定めて履行の催告をします。それでも履行しない場合には、負担付遺贈にかかる遺言の取り消しを家庭裁判所に申し立てをすることになります。

事例発行元:相続手続支援センター事例研究会
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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