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2015年 8月号 農地を遺贈できますか?
農地を遺贈できますか?

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<事例>

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70歳代のご相談者Aさんが、自分に万一の事があった時に残された家族が安心して過ごせるようにと、エンディングノートを活用し、生前の相続対策を考えています。そんなAさんから、次のような質問がありました。
「農地だけを弟に遺贈したいのだけれど、公正証書遺言を作ればできるの?」
Aさんはお父様より相続した農地を持っており、退職後の現在は趣味と健康維持を兼ねて農業を営んでいます。
Aさんの娘さん2人は、共に遠方に嫁がれて、将来田畑を維持してくれる人がいないのが悩みでした。
幸い、弟さんは近所に住んでおり、同居しているご長男もいるため、将来の田畑の維持を考えると、弟さんに遺贈できたら、それが一番良いだろうと思ったのでした。

<解説>

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農地を相続人ではない第三者に許可や届け出なしに遺贈することができるのは、包括遺贈の場合であり、個別の農地を第三者に遺贈する場合は農業委員会の許可、もしくは届出(地域による)が必要となります。
農業人の地位にある人への遺贈でなければ許可を得られませんが、Aさんの弟さんは農業人ではありません。
そのため、現状ではAさんの弟さんが遺贈により取得することはできないのです。
そのことをお伝えすると、残念そうな表情をされましたが、気持ちを切り替えて、今後農地をどのようにしていくのかを改めて考えます、との事でした。
その後、Aさんと話してみると、近隣で事業を営んでいる農業生産法人への譲渡や、農地転用して太陽光発電設備を設置する等、色々ご検討されていらっしゃいました。

ポイント

●農地法の意義

 農地には農地を守るためにつくられた、農地法という法律があります。
 農地法で決められていることの中に、耕作目的の農地等を権利移動する場合には農業委員会等の許可が必要となっています。(例 農業をしているXさんが用途を畑として、Yさん(父親から相続で取得)から畑を買う場合)
 また、農地を農地以外に転用する場合や農地を農地以外のものにするために移転したりする場合にも許可が必要です。(例 所有者であるXさんがその農地を駐車場にする場合や農地を宅地にして息子のために家を建てる場合等)
 今回の事例のように、現在農業をしていない弟さんへ農地を『農地』として遺贈することは出来ず、また、Aさんは農地を農地以外にする予定もないので、Aさんの希望である、農地のまま弟さんに遺贈したいという願いは叶いませんでした。
 ちなみに、もし今回の事例で2人の娘さんが相続したとしたら、通常必要となる『許可』は必要ありません。
 相続による取得の場合には、売買等での取得とは異なり、権利義務の承継ということになり、所有権移転登記することができるのです。
 なお、農地を相続した場合には、一定の条件がありますが、納税を猶予するという特例もあります。
 詳細は、国税庁のHPよりご確認ください。
   https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4147.htm

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●相続と遺贈の違い

 相続とは人の死亡により財産を承継することであり、遺贈とは遺言によって遺産の全部又は一部を無償あるいは一定の負担を付して他の者に譲与することです。

●包括遺贈と特定遺贈の違い

 包括遺贈とは、「遺産の全部または一部(例えば4分の1のように)を与える」というような抽象的な割合で定められた部分を目的とする遺贈であり、特定遺贈とは、具体的な財産を指定した遺贈です。

事例発行元:相続手続支援センター事例研究会
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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