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2021年 4月号 相続人の事情 海外在住と障害者

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<事例>

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Aさんから、ご主人Xさんの相続でご相談をいただきました。相続人は配偶者のAさんと長男、長女、次女の3人の子ですが、事情があって相続手続をどのように進めたらいいか、また相続税はどのくらいの負担となるのか、悩んでおられました。

お話をお聞きすると、長男Bさんはアメリカに居住しており、しばらく日本に帰って来られないという事情、長女Cさんは結婚後、病に倒れ、障害をお持ちで寝たきりの状態、という事情がありました。次女Dさんが、Xさんの近くで暮らし高齢のAさんを支えています。相続財産は預金のみですが、相続税の基礎控除額を超える為、申告が必要です。

<結果>

まず、遺言書等がない場合に、遺産を分割するのに必要な「遺産分割協議書」には、各相続人が実印を押印し印鑑証明書を添付しますが、相続人が海外に居住されている場合、実印及び印鑑証明書が用意できません。この場合、現地の日本領事館での「署名(及び拇印)証明」で代用することができます。
領事の面前で、遺産分割協議書に本人が署名したことを証明してもらうのです。アメリカにお住いのBさんへは、Dさんから連絡していただき、遺産分割協議書をアメリカに郵送して、無事に署名証明を受けていただきました。
一方、障害をお持ちのCさんについては、寝たきりとはいえ、意思疎通は可能で、電話でお話もできるようです。障害をお持ちの場合、後見制度を利用しなければならない場合もありますが、Cさんの場合は必要なさそうです。Dさんより、Cさんのご主人に協力を依頼し、遺産分割協議書への署名押印や印鑑証明書を準備していただきました。

遺産分割の内容は、Aさんが2分の1、子三人は残る2分の1を3等分するというものです。配偶者のAさんは配偶者控除の適用により相続税の負担はありませんが、子3人は負担を負います。
しかし、Cさんは障害者であるということで、障害者控除の適用を受け、税の負担を免れました。しかも、Cさんが受ける障害者控除の額が、Cさんが負担する予定の相続税額よりも多い為、その超えた部分は兄弟姉妹であるBさんやDさんの相続税額から差し引かれ、Bさん、Dさんがその恩恵を受けることとなりました。

協力をしていただいたおかげでスムーズに相続手続きが進行し、また、結果的に誰も相続税を負担することなく完了しました。Aさんの悩みも無事解消されました。

ポイント

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 ●相続税の障害者控除

相続税の申告に際し、相続人が85歳未満の障害者のときは、障害者控除として、相続税の額から一定の金額 が差し引かれます。障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(1年未満は切り上げ)につき10万円で計算した額です(特別障害者の場合は1年につき20万円)。
 例えば、相続開始時点で52歳4か月の場合、85歳-52歳4か月=32歳8か月、10万円×33年(端数切)=330万円が相続税額から差し引かれることとなります。
 この障害者控除額が、その障害者本人の相続税額よりも大きい為、控除額の全額が引ききれない場合は、その引ききれない金額を、その障害者の扶養義務者(配偶者、直系血族、兄弟姉妹のほか、3親等内の親族の内一定の者)の相続税額から差し引くことになります。
 つまり、障害者でない方も、税の負担が軽減される場合があるということです。なお、障害者控除は、相続や遺贈で財産を取得することが要件の一つになっていますので、障害者控除の適用を受けるには、その障害者は少額でも財産を取得しておく必要があります。


事例発行元:相続手続支援センター事例研究会
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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