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2021年 2月号 晩年を幸せに過ごした父の思い

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<事例>

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 Aさんと夫Xさんは、夫婦二人で7年間、仲良く暮らしてきました。
64歳で初婚となるXさんとは、カルチャー教室で知り合い、話していて価値観の近さから、急速に心の距離も縮まり、ほどなく結婚。Xさんは、25年前に亡くなった妹の子Bさんを養女として迎えていましたが、その養女はすでに社会人で、離れて暮らしていました。結婚に反対はしなかったものの、突如現れたAさんとは距離を取っていました。

そんなAさん夫婦に予期せぬことが起こりました。元気だったXさんが突然倒れてしまったのです。病名は癌。それもかなり進んでいました。ずっと前から痛かったはずですが、Xさんはそんなそぶりは見せませんでした。
病床のXさんは、自分がもう長くはないと感じ、遺言書を作成することにしました。
そして遺言書を作成してから1年後、Xさんは亡くなりました。


<結果>

遺言の内容は、Aさんが自宅不動産を引き継ぐ上、今後の生活の為の預金も確保されており、Bさんが取得する財産よりも多くなっていました。それでも、遺留分も考慮されているため、Bさんは従わざるを得ないですが、Bさんとしては、7年一緒に過ごしただけの妻よりも自分の方が少ないことに釈然としない気持ちだったようです。
遺言を確認してから2週間後、BさんがAさんを訪ねてきました。Bさんは、いままでに養父Xさんからもらった手紙を読み返してみたようです。そこには「Aさんと暮らせて幸せだ、とても大事にしてもらっている」というようなことが書かれていました。
「男手ひとつで、自分を育ててくれた人が、一時でも夫婦として幸せに暮らしてきた、そのことが再認識できたので、この遺言の内容を受け入れます。」Bさんの言葉にAさんは救われた気がしました。今では、AさんとBさんは”母娘”として、一緒に食事に行く仲だそうです。

ポイント

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 自宅に住み続けながら、預貯金も相続できるようになりました


●配偶者居住権(令和2年4月1日施行)

配偶者の一方(例えば夫)が亡くなった場合、他方の生存配偶者(妻)は、住み慣れた自宅に住み続けることを希望する場合が多いと思われます。特に高齢の方の場合、配偶者に先立たれた上に、新たな生活環境を強いることは、精神的にも肉体的にも大きな負担となりかねません。しかし、法定相続分で遺産分割をすることとなった場合、配偶者の権利や生活が十分に確保できない場合がありえます。法定相続人が配偶者と子の場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子が2分の1となりますが、相続財産は自宅不動産と預貯金で同じくらいの価値だとすると、法定相続分通りの遺産分割では、配偶者が自宅を相続すると預貯金を相続できないことになってしまいます。住む家は確保できても預貯金を確保できず、今後の生活が不安定になってしまう恐れがあるのです。

このたびの民法(相続法)改正で、新たに創設された「配偶者居住権」という権利は、配偶者(例えば妻)が住んでいた建物が亡くなった配偶者(夫)の相続財産である場合、その所有権を子が相続したとしても、配偶者居住権という権利を設定することで、妻は終身又は一定期間、「無償」でその家に住み続けることができるという権利です。また、この権利は、登記をすることで第三者に権利主張できたり、相続財産として評価される一方で、所有権よりも低く評価されるため所有権を相続する場合に比べてより多くの預貯金等を相続することが可能となったりします。

事例発行元:相続手続支援センター事例研究会
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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