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2019年 12月号 誰も相続したくない

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<事例>

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 お父様が亡くなったとのことで長女、二女、三女の相続人全員が揃ってご相談にいらっしゃいました。ご実家は代々続く旧家とのことですが、三姉妹は皆嫁ぎ、誰も実家を継ぐ人がいないとのことでした。「旧家にとって『跡取り』はとても重要なんです。」と口々に思いつめたようにおっしゃいます。以前から三姉妹の結婚話が持ち上がるたびに、そのことが原因で揉めたこともあり、跡取り問題は封印され、その後、3人とも嫁ぎ、年月が流れ、お父様がお亡くなりになられたとのことでした。
「これから先、実家の広い敷地、古い母屋、離れ、何十筆もの田畑やお墓を誰が引き継ぎ、どのように管理していけばいいのか…」と三姉妹は途方にくれておられました。しかも、広大な宅地は高額な評価額となり、相続税も納めなければなりません。「いっそ相続放棄をしてしまいたい」との思いもよぎられたそうですが、親戚の叔父叔母の手前、そんな無責任な事が許されるはずもないとのことでした。

<結果>

それぞれの配偶者も巻き込んでの分割協議は、「遺産の取り合い」ではなく「押し付け合い」となりました。仲の良かった三姉妹の間には、話し合いを重ねるごとに不穏な空気が漂い始め、ついには「長女VS二女&三女」という勢力関係となり…最終的には、親戚の叔父叔母からの叱責や、相続税の申告期限も迫り、長女のAさんが全てを相続することで協議が成立しました。

Aさんは「相続税は相続した預金で何とか支払うことができましたが、これから先、払い続けなければならない固定資産税や土地の管理費用の事を考えると将来的には土地を切り売りするしかありません。そうなればきっと妹達や親戚は私を責めるでしょう。幼い頃から三姉妹平等に育ってきたのに、お墓も私が守り続けなければならない。こんなときだけ長女の責任を負わされるなんて…」と悲しそうにおっしゃっていました。

先祖代々から受け継いできた「家」が時として子孫を苦しめる事になるのです。誰も住んでいない実家や、地方にある山林、原野の処遇、祭祀財産の承継など、価値観の多様化もあり、「誰も相続したくない」という新たな相続問題が増えているように感じます。

ポイント

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生前対策を考えておきたい財産

●不要不動産の対策

 今回の事案のように、受け継いできた実家不動産だけでなく、将来の開発を期待して買った山林や原野などの不要不動産についても、遺産分割協議の際に、相続を押し付け合うということがあります。相続により、行ったこともない空地の固定資産税を負担することになりかねないからです。そのような不動産をお持ちの場合は、相続による混乱が生じるのを防ぐため、前もって売却先を探しておくなどの生前対策が望まれます。

●祭祀財産による対策

 お墓や仏壇や位牌等を「祭祀財産」といいます。相続が開始すると、被相続人の財産に属した一切の権利義務は相続人に承継されるのが原則ですが、「祭祀財産」は第一に被相続人の指定に従って、次に慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者に承継されることと民法で定められています。実際の遺産分割協議では、祭祀財産を承継する人が「お墓を守っていくから」という理由で実家を相続したり、財産を多く相続したりすることがあるようです。これらの祭祀財産は「財産」というより「先祖を敬う気持ち」によるところもあり、受け継ぐ人にとって大きな負担となる事もあります。今回の事案のように押し付けあう「争続」が発生しないよう、生前の話し合いが重要です。

事例発行元:相続手続支援センター事例研究会
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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