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<事例>

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Xさんが急死されたということで、奥様のAさんと長男のBさんがご相談にみえました。
相続人は、Aさん、Bさんの他に、二男のCさんがいるとのことですが、BさんとCさんは折り合いが悪く、かれこれ20年以上音信不通で、居所も分からなくなっており、Xさんの葬儀の連絡すら、未だできていないとのことでした。

また、XさんとAさんのご夫婦間では、全ての財産をXさんが管理しており、Aさんは毎月の生活費をXさんから受け取るようにしていました。そのため、当座の生活費だけでも…と、取り急ぎ預金をおろしに銀行に行きましたが、「相続人全員の署名と実印、印鑑証明書が必要」と言われたとのこと。「相続人全員の、と言われても、二男の行方も分からないのに…」と途方に暮れていらっしゃったのでした。

<結果>

銀行の案内の通り、預貯金も相続財産として遺産分割の対象となるので、預金をおろすためには相続人全員による遺産分割協議が必要です。幸い、Xさんは生命保険をかけていたため、まず保険の請求をAさんに着手していただきました。また、遺族年金も早急に請求しました。
その間に戸籍や附票を取得してCさんの住所を調査し、連絡をしていただきました。ただ、長年Bさんとの確執からか、Bさんは勿論、Aさんが連絡をしても「協力したくない」の一点張りとのことです。これでは銀行からお金をおろすことができません。

今後の生活費として必要な上に、葬儀代や未払いの病院代と、臨時の出費がかさむ時期なのに、頼みの綱の遺族年金の入金まで3か月ほどかかってしまいます。
困っていたところに死亡保険金の支払いを受けることができ、何とかAさんの当座の生活の心配を取り除くことができました。

金銭的に安心のできたAさんとBさんは、何度もCさんのもとに足を運び、ずっとCさんの心配をしていたXさんの思いや、これから家族としてもう一度やり直したいと話しをし続け、初盆には皆でお参りをすることができるようになり、無事に相続手続も完了しました。

ポイント

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●民法(相続法)の改正

遺産分割協議終了前の、共同相続人の一部からなされる預貯金の払戻請求については、2016年12月19日の最高裁判所大法廷決定により、預貯金も遺産分割の対象とされたため、遺産分割協議が終了しなければ一部の相続人が預貯金の払戻を受けることができない、とされていました。しかし、それでは今回のケースのように、葬儀費用や債務の弁済、当面の生活費など、有事における相続人の資金不足が深刻化してしまいます。こうした不都合を回避すべく、早急な法整備が待たれていたところ、今般の民法(相続法)改正で預貯金の払戻制度が創設され、民法第909条の2が盛り込まれ、相続された預貯金債権について、各相続人は、遺産分割前でも、一定の範囲で預貯金の払戻しを受けることができるようになりました。(2019年7月1日施行)

●その他の改正

このほかにも家事事件手続法を改正して、他の共同相続人の利益を害しない限り、家庭裁判所の判断により預貯金の仮払いを得る方策も設けられました。家庭裁判所の判断を経ずに払い戻しが受けられる金額には上記のとおり限度額が定められていることから、あくまでも当面の資金需要に対応するためということで、大口の資金需要がある場合については,家庭裁判所の判断を仰ぐということになると考えられます。

事例発行元:相続手続支援センター事例研究会
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。


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