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2016年 6月号 兼業・副業を認める際の注意点
兼業・副業を認める際の注意点

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<ある会社の事例>

 弊社では、自社での業務に集中して欲しいとの考えから、今までは社員に対して休日等を利用した他社での就業を認めていませんでした。しかしながら、社員に自立したキャリアを築き、本業に貢献して欲しいとの考えから、今後は兼業や副業を認めていく考えを持っています。つきましては、社員の兼業や副業を認める際の注意点等を教えて頂けませんでしょうか。

 兼業や副業のルール決めに関しては会社の自由に任されていますが、その兼業や副業が会社や社員にとって支障をきたすものである可能性もあります。会社の対応策としては、兼業や副業をする社員には事前に申請書を提出させ、社員の健康面での影響や、競合他社に対する営業秘密開示の可能性などを考慮し、許可を出す方法が考えられます。

兼業・副業とは

 兼業と副業はどちらも二つの仕事を掛け持ちすることですが、兼業は一つの仕事を持ちながら、他にも同程度の比率で取り組む別の仕事を持っていることに対し、副業は本業よりも割く時間や労力は少ないが別の仕事をしていることを指します。中小企業庁が平成26年に行った統計では、民間企業の95%以上が兼業・副業を原則禁止している一方で、別の統計では正社員の5人に1人が副業を行っている実態もあり、現状は会社に報告せずに兼業・副業を行っている社員は多く存在すると思われます。
 法的にみると、社員の兼業・副業の取り決めをどのようにするかは会社の自由に任されています。労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由であり、本業の労務提供に影響が出ない範囲の兼業・副業であれば、会社は規制をすることは出来ないという考えもある一方で、判例では無許可で副業をした社員の解雇の正当性を認められたケースも多く、就業規則等で兼業・副業を制限することは可能といえます。

会社が許可を出す際の注意点

 事例の場合、会社が今後兼業・副業を認める方針であっても、兼業・副業が無制限にされれば、本業がおろそかになるばかりか、長時間労働による社員の健康被害や、競業会社における兼業・副業は、営業秘密の漏洩に繋がるおそれがあります。また、労働基準法では兼業・副業先の会社での労働時間は本業と通算されると定められており、通算で1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えた場合は割増賃金が発生するため、会社は兼業・副業先の労働時間を把握しなければなりません。したがって、会社は兼業・副業を認める場合でも、社員には事前に申請書を提出させ、その可否を判断すると共に、兼業・副業の状況を把握しておく必要があります。

会社にとってのメリット・デメリット

 上記で述べたとおり、会社が社員の兼業・副業を認める場合でも、社員の健康上の問題や営業秘密の漏洩の可能性もあり、積極的な推奨はしにくい会社も多いと思います。一方で兼業・副業を認めることで社員のキャリアアップや本業への貢献度の向上、家業との両立など社員が希望している働き方が実現できることによる定着率の向上、意欲のある良い人材を集めるための企業イメージアップなど、会社にとってメリットも少なくはありません。
 日本型企業の特徴である年功序列の賃金制度や終身雇用が崩れた昨今、様々な働き方を可能にして、限りある労働力を活用することを進めている日本社会において、兼業・副業を一定のルールの上で容認する会社は今後増えていくのではないでしょうか。

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資料作成:社会保険労務士法人アーク&パートナーズ
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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