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2016年 4月号 腰痛の労災認定について
腰痛の労災認定について

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<ある会社の事例>

 製造業の会社で開発職として働くAさんは、自社の商品を確認するために会社の倉庫内の狭いスペースから10kgほどの荷物を運び出そうとしたところ、無理な姿勢で荷物を持ち上げようとした際に腰に激しい痛みが走り、そのまま動けずに救急車で病院に搬送されました。Aさんは腰部捻挫と診断されましたが、今回の腰痛の治療は労災保険の対象になるのでしょうか。

 今回のケースは、労災保険の対象となる腰痛に該当します。社員に発生した腰痛が業務上のものとして労働基準監督署に労災と認定されるかは、腰痛を「災害性の原因によるもの」と「災害性の原因によらないもの」に分けて、それぞれ認定条件を定めています。Aさんの腰痛は、業務上必要な荷物を持ち上げる際に、突発的で強い力が掛かったことによる災害性のものと判断されます。

労災保険の対象となる業務災害とは

 労災保険においては、業務災害と通勤災害を保険対象としており、業務災害は「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」に関して保険給付がなされます。ある疾病が「業務上」と認められるためには、労働者が労働契約に基づき会社の支配下にあった「業務遂行性」と、業務と疾病との間に相当因果関係があった「業務起因性」が認められることが必要です。休憩中や就業時間外に会社内で起こった災害についても、それが事業場内施設の欠陥またはその管理の不十分さに起因する場合には業務起因性が認められ、業務上と認定されます。また、労災が認定されるかどうかは会社の判断ではなく、労働基準監督署が判断します。

腰痛の認定要件について

 労災保険においては、厚生労働省では腰痛の認定基準を次の2種類に区分して、それぞれ労災補償の対象となるための要件を定めています。また、労災補償の対象となる腰痛は、医師により療養の必要があると診断されたものに限ります。

 今回のAさんの事例は、上表の「災害性の原因によるもの」で、仕事中の突発的な出来事によって生じた急激な力の作用が腰痛を発症させてしまったことから、(1)と(2)の要件を満たし、労災保険の対象となります。

業務上の腰痛を防止するためには

 業務上疾病に占める腰痛の割合は平成26年度の厚生労働省統計では84%と非常に高く、「職場における腰痛予防対策指針(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/youtsuushishin.html)」も厚生労働省から出されています。職場における腰痛は①腰部に過度の負担を加える動作要因、②腰部への振動、温度、転倒の原因となる床・階段の状態等の環境要因、③年齢や性別、体格、筋力、既往症または基礎疾患の有無等の個人要因、④職場の対人ストレス等の心理・社会的要因など、多元的な要因によって発生します。治療が長期化する傾向にある腰痛を予防するために、まずは会社として腰痛予防対策に取り組む方針を表明した上で、多種多様な発生要因によるリスクに応じて、事業場の実態に即した作業環境の整備を進めていきましょう。

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資料作成:社会保険労務士法人アーク&パートナーズ
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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