労務リスクニュース - バックナンバー

2015年 2月号 懲戒処分で減給をする上での注意点とは?
懲戒処分で減給をする上での注意点とは?

オリジナルファイルのダウンロード(PDF)

<ある会社の事例>

 弊社は従業員が100人の小売業です。3年前に人事評価制度を導入し、現在はそれに基づいた給与計算をしているのですが、今回降格人事により減給になる社員が発生致しました。労働基準法では、減給の制裁には限度があったと記憶しているのですが、今回の降格による減給でも、この限度を超えると違法になってしまうのでしょうか。

 労働基準法では、「1回の額が平均賃金の1日の半分を超え、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」という減給制裁の限度が定められていますが、事例の会社で人事評価制度により降格された社員の減給が、会社の賃金制度に基づいたものであれば、この労働基準法の限度は適用されないため違法にはなりません。

懲戒処分の種類

 懲戒処分とは、会社が従業員の企業秩序違反行為に対して課す制裁罰であり、けん責・戒告、減給、出勤停止、懲戒解雇などの処分があります(下表参照)。懲戒処分を行なうためには、就業規則において、懲戒の種類と事由についての記載が必要です。また、懲戒処分には、過去の行為に遡って処分することは出来ない不遡及の原則や、同一事案に対する二重の懲戒処分は出来ない一事不再利の原則があります。

イメージ

減給の制裁の限度とは

 懲戒処分の中の減給制裁は、労働基準法第91条で、「1回の額が平均賃金の1日の半分を超え、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」と、その限度が規制されています。これは「1回の事案」に対して減給の総額が平均賃金の1日分の半額以内でなければならず、さらに1賃金支払期に複数の事案に対して減給処分をする場合でも、その総額は賃金総額の10分の1以下でなければならないということです。1賃金支払期に減給分が引ききれない場合は、複数の賃金支払期に分割することも可能です。賃金は本来その全額を支払わなければならないという労基法上の原則があるため、減給に関しては厳しい規制を設けているのです。

降格による減給や、出勤停止時の無給処分は減給の制裁にあたるか

 それでは、事例のような降格に基づく減給や、出勤停止時に支払われない賃金は労基法による減給制限の適用を受けるのでしょうか。まず、降格に基づく減給は、その会社の賃金制度において降級・降格で賃金が変更になることが予定されている場合には、その制度に基づく減給であれば労働基準法の限度は適用されません。これは職務や職能(資格・等級)が変更になった結果として賃金が変更になったに過ぎず、懲戒による減給とは意味合いが異なるためです。ただし、人事権の行使による降格や懲戒処分としての降格であったとしても、それぞれの権利行使が濫用であれば、降格自体が無効となります。また、出勤停止による無給処分は、出勤をしないことで賃金の発生自体がなくなるため、労基法上の減給制裁の限度規制は及びません。もっとも、出勤停止が長期となれば重い懲戒になるため、懲戒権濫用の判断をされないよう、懲戒処分は慎重に検討する必要があります。

オリジナルファイルのダウンロード(PDF)

資料作成:社会保険労務士法人アーク&パートナーズ
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

TOPページへ戻る

おすすめコンテンツ

  • 地域AD倶楽部
  • ベルマーク運動
  • 運送ラボ
  • 建設ラボ
  • フード&アグリラボ
  • ケア・フレンズ
  • ベストケアサポーターのご紹介
  • eco now
  • インターリスク総研