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2011年 10月号 兼業(二重雇用)についての問題点 ― かけもちのアルバイトの残業代はどちらの会社が払うのか? ―
兼業(二重雇用)についての問題点 ― かけもちのアルバイトの残業代はどちらの会社が払うのか? ―

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多くの会社の就業規則においては、「会社の許可なく他人に雇い入れられること」すなわちアルバイト等の二重雇用を禁止していました。理由は主として、従業員が就業時間後は休養し、精神的肉体的疲労の回復に努め、次の労働日に心身ともに元気な状態で就労して欲しいということ、そして兼業の職種によっては自分の会社の秩序破壊、対外的な信用や体面が傷つけられる場合があるということです。
しかし、最近の労働情勢の悪化により残業の禁止、労働時間の短縮、労働日の削減などを実施する企業が増えており、そのような企業では従業員の生活のため兼業を認める場合があります。
とは言え、兼業を認めた場合は様々な疑問や問題が生じます。例えば…

・本来の会社で1日8時間以上1週間で40時間以上働いた場合、兼業先やアルバイト先での賃金の
 扱いはどうなるのか?
・月に80時間以上の残業が発生した場合は従業員の申出により医師の面談が必要になりますが、
 その場合はどちらの会社がその義務を負うのか?
・勤務先から勤務先への途上で通勤災害が起こった場合の取扱いはどうなるのか?

などですが、意外と知られていません。そこで今回は、兼業を認めている場合の注意点又は認めていない場合の裁判例を紹介します。

◆兼業を認めている場合の注意点
 兼業先やアルバイト先での賃金の支払い

使用者は、原則的には1日8時間以上、1週間については40時間以上労働者を働かせた場合は、2割5分以上の割増賃金を支払わなくてはなりません。
ところで、労働基準法第38条の1項には「労働時間は事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」とあります。通達では、この「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合も含むとしています(昭和23.3.14 基発769号)。
と言うことは、前の会社Aで8時間労働を終えた後に次の就労先Bで働いた場合は労働時間が通算されるので、割増賃金代はB社で支払わなくてはなりません。従って、仮に時給1,000円ということのみの条件でB社が労働契約を結んだ場合、兼業する人に対しては250円増しの1,250円を支払う義務が生じます。
この場合、その労働時間が深夜にかかると更にその時間は残業代プラス2割5部以上の支払義務が生じます。兼業が土・日勤務のみの場合も同様に考えます。


 A社からB社へ行く途中の事故

前項と同様にA社で実働8時間勤務し、その後B社で勤務したとします。その場合の労災保険の適用はA社では、自宅からA社までの出勤が通勤災害、A社での勤務時間中が業務災害となり、B社での労災保険の適用は、B社での勤務時間中が業務災害、B社から自宅までの帰宅が通勤災害、そしてA社からB社までの移動が通勤災害となります。
A社での業務・通勤災害は、A社で支払われた賃金に基づき給付が行われます。しかし、B社はA社での業務災害とは関係がありませんので私傷病としての欠勤扱いとなり、当然に休業期間中はA社による休業(補償)給付(A社の平均賃金に基づく)のみが行われます。
B社での業務・通勤災害の場合は、この逆の状況となり、休業期間中はB社による休業(補償)給付(B社の平均賃金に基づく)のみで生活することになります。
A社が正規雇用、B社が短時間労働者での雇用となるとB社での業務災害や通勤災害では、例え、休業補償金が給付されてもその額は生活に十分とは言えない額が通常でしょうから気をつける必要があります。


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