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2013年 6月号 朝礼、入社前研修の問題点
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 大阪市の橋下市長が大阪府の知事だったときに、府庁で30歳以下の府職員約330名を集めて初めての朝礼を行い、「府庁を変えるのは現場の皆さんです。何よりも府民のためという意識を持って、一緒にがんばりましょう」などと意識改革を呼びかけたことがあります。
しかし、始業前に朝礼を始めようと考えていたにもかかわらず、「超過勤務」になるとして朝9時15分に朝礼を行うことになったことを説明した上で、次のようなことを言いました。
「たかだか15分、始業時間の前にみんなでこうやって、これからの大阪を考えるために気持ちを共有させようという朝礼をやるときに、それを超過勤務手当というんだったら、税金で給料を賄われている皆さん方のその執務時間、私語があったりとかたばこを吸ってたりとかいうのはこれは全部(給与から)減額させていただきます。」

 そこで、実際に勤務中に煙草を吸ったり私語をした場合、給与から差引いているのか大阪府に確認してみました。その回答は「公務員には職務専念義務があるので、橋下知事に言われるまでもなく、そういうことは以前からありませんでした。もし、仮にそのような者がいた場合は、注意をし、それでも改めない場合は処分ということになっています。」というものでした。随分前から大阪府の庁舎は全面禁煙になっており、一昔前のように職場では吸えないので、喫煙者は勤務時間中はひたすら我慢ということになっているようです。

ある鋳物製造会社の事例

 A株式会社は鋳物の製造会社で工場を持つ従業員30数名ほどの会社です。勤務時間は、始業が9時からで終業は18時ですが、いつの頃からか、創業40年以上の比較的古い会社なので定かではありませんが、始業15分前にラジオ体操と朝礼を行っておりました。そして、その時間は無給という扱いでした。それまでは何の問題も起こりませんでしたが、2年ほど前にある新入社員から割増賃金が発生しているのではないか、と疑問が出されました。

割増賃金の支払いが必要か・・・?

 社長としては、実際に製造に携わっている時間ならともかく、体操は従業員の福利の一環だし、朝礼は体操の後5分以内に終わるのだからそれを割増賃金を支払えとは何事か、と橋下知事同様に怒りました。それに15分分の割増賃金を参加している全員に支払うと丸々1人分の賃金に相当します。人件費の面からも大変厳しいことになります。

 しかし、念のために社長は社会保険労務士に相談しました。その社会保険労務士は、工場に出向き従業員、上長等に事情を聴取しました。結果、1.全員参加が常態化しており、遅刻等をして出席できなかった場合は注意をうけること 2.体操・ミーティングは工場長も参加していること、3.ミーティングの内容は、その日における職務の遂行上かなり重要な伝達事項が含まれていることがあること を認識しました。

 そこで社会保険労務士は、次のような判例(三菱重工業長崎造船所事件)を引き、会社で始業前に行っている体操、朝礼は労働時間と認められる可能性が高く、割増賃金の支払いはやむを得ないと社長に指摘しました。「(労働時間とは)労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによって決定されるべきものではないと解するのが相当である。」「そして、労働者が就業を命じられた業務の準備等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされたときは、…当該行為は特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ…。」
結果、体操、ミーティングは始業後に行われることになりました。

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資料作成:社会保険労務士 吉田達事務所 吉田達
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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