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2013年 2月号 みなし労働時間制
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ある小売業の事例

 A社は食品の小売業を営んでおり、多数の営業部員がいます(始業・終業時刻 午前9時~午後6時)。営業部員は業務の性質上当然外回りが多く、外回りの時間中は使用者の指揮監督がおよびません。業務内容や営業の方法は各人に任されており、昼食の時間や休憩時間、何時にどの位、昼食休憩をとるかなどは職務を忠実に遂行している限りは自由にしています。その結果、帰社時刻もまちまちで残業代も多く発生しています。

 そこでみなし労働時間制を採用し、就業規則で「所定労働時間である8時間労働したものとみなす。」と定めました。ところがある日、午後5時に帰社しそのまま6時迄内勤をした後帰宅した営業部員が、翌日「外回りの場合は8時間労働とみなすのだから、内勤で1時間勤務した時間は残業にあたる。」と言ってきました。この場合、会社としては残業代を支払うべきでしょうか?

労基署の見解

 大変難しい問題で労基署でも断定はしていませんが、上記のような場合で、本来の所定労働時間内ならば割増賃金は発生しないという立場を取っています。

 このように混乱するのは、この件に関する相反しているかのような通達が2つ出ているからのように思われます。
 1つは昭和63年1月1日の基発第1号で、それには「労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなされ、労働時間の一部について事業場内で業務に従事した場合には、当該事業場内の労働時間を含めて、所定労働時間労働したものとみなされるものであること」とし、この見解を取ると、内勤と外勤を合算して計算することになり、冒頭のようなケースでは所定労働時間内で収まっているのだから残業時間は発生しないということになります。

 ところが、昭和63年3月14日の基発第150号では「みなし労働時間制による労働時間の対象となるのは、事業場外で業務に従事した部分であり、労使協定についても、この部分について協定する。事業場内で労働した時間については別途把握しなければならない。そして、労働時間の一部を事業場内で労働した日の労働時間は、みなし労働時間制によって算定される事業場外で業務に従事した時間と、別途把握した事業場内における時間とを加えた時間となる。」という通達も出ています。この見解だと冒頭の社員の主張のとおり、残業代を支払うことになりそうです。しかしながら、その仕事が営業に係る残務整理等の場合は、原則はあくまでも基発第1号だというのが労基署の見解です。

 なぜならば「本来事業場外労働の中で処理すべき事務やその延長としての業務(例えば、注文書、請書、納品書その他の書類や伝票の整理、金銭の計算、略 等)であれば、業務を行った場所がたまたま事業場内というだけであり、その業務の性質は営業外勤労働と評価されるので、みなし労働時間に含まれることになろう(そうでなければ事業場外でその都度きちんと処理してきたため内勤で処理する必要がなかった者と、本来事業場外労働で処理してくるべきであるものを本人の怠慢で処理しないで事業場内に持ち込んで仕事を行った者との間で不公平が生じ…)(安西愈著『労働時間・休日・休暇の法律実務』)」という考えです。

 しかしながら、「帰社後の内勤勤務が営業打ち合わせ会議、新商品の説明会、関係法規の研修等外勤業務とは性格の違う別の労働とみられるものである場合には、事業場外労働のみなしに含むわけにはいかないので、別途通常の時間計算によるべき(前記より)」ということになります

 それでは、昭和63年3月14日の基発第150号のほうは何を意味するかということですが、この件に関しては、労基法第38条の2の第1項後段から第2項にかけての労使協定が締結される場合のみなし時間の取扱に関して言っているのだという考えが一般的です。
 この件に関しては添付資料で。

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資料作成:社会保険労務士 吉田達事務所 吉田達
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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