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2013年 1月号 有給休暇(年休)と不利益取扱い
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<エス・ウント・エー事件>(最高裁平成4年2月18日判決)

 この事案では、賞与の算出に際して年次有給休暇の取得日を欠勤日として扱い、賞与を減額したことについて、年休取得日を欠勤日として扱うことは許されないとし、減額分の支払い請求が認められました。また、労働基準法39条第1項にいう全労働日とは、1年の総暦日数のうち労働者が労働契約法上労働の義務を課せられている日数をいうものと解すべきであるとして、出勤を要しない土日曜日、国民の祝日、年末年始休暇は労働義務を課せられていない日に当たるので、それらを「全労働日」に含めた就業規則の部分を無効としました。

労働基準法第39条では、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならないとされています。また、その後は1年を経過するごとに、勤続年数に応じた日数を与えなければならないことになっています。

6か月間継続勤務とは

 6か月の起算日は採用日ですが、全労働者に一斉付与するために特定の締切日を設けている場合、その締切日までに継続勤務6か月未満の者に対して足りない期間を出勤したものとみなす扱いは問題ありません。逆に6か月を経過した時点で特定の締切日に達していないことで有給休暇を与えないことは違法になります。
 また、「継続勤務」とは、労働契約が継続している期間、すなわち在籍期間をいいます。休職中や病気欠勤中、組合専従等の期間も会社に在籍している限り通算されます。

全労働日とは

 「全労働日」とは、暦日数から所定の休日を除いた日数をいいます。上記の判例の通り、労働義務が課せられていない土日曜日、国民の祝日、年末年始休暇は「全労働日」には含みません。業務上の負傷・疾病による療養のために休業期間、産前産後休業の期間、育児又は介護休業の期間については、出勤したものとみなして計算しなければならないことになっています。また、有給休暇を取得した日についても全労働日に含めるとされています。

労働日とは

 10労働日の「労働日」とは原則として暦日計算によるべきものとされています。例えば、通常の日勤者が翌日に有給休暇を請求していたが、その日の勤務が時間外労働によって翌日の午前2時までに及んだ場合、翌日の勤務を免除しても、翌日の一部(午前零時から2時まで)を既に勤務をしているので、暦による1労働日単位の休息が与えられたことにはならないため、有給休暇を与えたことにはならないことになります。

不利益取扱いの禁止

 使用者は、労働者が有給休暇を取得したことを理由として、賃金の減額その他不利益な取り扱いをしないようにしなければならないと定められています。賃金の減額その他精皆勤手当や上記判例のように賞与の算定、昇給上の要件になる出勤率の算定に際して、有給休暇を取得した日を欠勤又は欠勤に準じて取り扱うことのほか、有給休暇の取得を抑制するようなすべての不利益が含まれます。具体例としては次の通りです。

  1. 有給休暇の買い上げ契約や放棄する旨の契約
  2. 有給休暇取得日数に応じて相当多額の収入減少を伴うことが予め定められている契約
  3. 有給休暇を取得せずに稼働した場合に特別賞与を与える契約

有給休暇の買い上げ

 有給休暇の買い上げを予約し、予約された日数について年休取得を認めないことは法違反になります。しかし、時効や退職等の理由で消滅するような場合に、残日数に応じて金銭を給付することは買上げと異なるので必ずしも法違反にはならないとされています。しかし、有給休暇の取得の抑制なることは好ましくなく、有給休暇を取得しやすい環境を整備することが重要です。

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資料作成:根岸人事労務事務所 根岸純子
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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