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2012年 11月号 セクシュアルハラスメントと安全配慮義務(新たな労災認定基準)
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<東京セクハラ(マンション管理会社)事件>(東京地裁平成12年3月10日判決)

 この事案では、会社代表者から女性社員に対する入社以来の性的嫌がらせ、職場における勤務時間終了後に引き続く強姦未遂行為によって、その女性社員が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に罹患し、さらに事後にその行為をとがめた女性社員を会社が不当解雇しました。判決は、解雇が正当な理由がなく不法行為であることを確認するとともに、その女性社員の受けたセクハラ等による精神的苦痛に対する慰謝料と、解雇後9カ月の逸失利益である賃金相当額を相当因果関係のある損害として認めました。

 昨年の12月26日付で「心理的負荷による精神障害の認定基準」(以下「認定基準」)が新たに定められました。従前の判断指針では「セクシュアルハラスメントを受けた」は、「対人関係のトラブル」に分類されていましたが、セクシュアルハラスメントは「対人関係のトラブル」という分類から想定される、対人関係の相互性の中で生じるものに限らないことから、認定基準では独立した類型とされました。

精神障害の労災認定要件

  1. 認定基準の対象となる精神障害を発病していること(「うつ病」や「急性ストレス反応」など)
  2. 精神障害の発病前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること
  3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因により精神障害を発病したとは認められないこと

「業務による強い心理的負荷」が認められるかどうかの判断は?

イメージ

 心理的負荷の程度を「強」「中」「弱」の3段階で総合評価し、「強」と評価される場合に業務による強い心理的負荷と判断されます。なお、「中」または「弱」と評価される場合でも長時間労働等セクシャルハラスメント以外の出来事が複数生じた場合等には、総合評価が「強」になることがあります。

≪「強」と評価される具体例 ≫
  • 強姦や、本人意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクシャルハラスメントを受けた
  • 胸や腰などへの身体接触を含むセクシュアルハラスメントであって、継続して行われた場合
  • 胸や腰などへの身体接触を含むセクシュアルハラスメントであって、行為は継続していないが、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった、または会社へ相談などをした後に職場の人間関係が悪化した場合
  • 身体接触のない性的な発言のみのセクシュアルハラスメントであって、発言の中に人格を否定するようなものを含み、かつ継続してなされた場合
  • 身体接触のない性的な発言のみのセクシュアルハラスメントであって、性的な発言が継続してなされ、かつ会社がセクシュアルハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった場合
≪「中」と評価される具体例 ≫
  • 胸や腰などへの身体接触を含むセクシュアルハラスメントであっても、行為が継続しておらず、会社が適切かつ迅速に対応し発病前に解決した場合
  • 身体接触のない性的な発言のみのセクシュアルハラスメントであって、発言が継続していない場合
  • 身体接触のない性的な発言のみのセクシュアルハラスメントであって、複数回行われたものの、会社が適切かつ迅速に対応し発病前にそれが終了した場合
≪「弱」と評価される具体例 ≫
  • 「○○ちゃん」などのセクシュアルハラスメントに当たる発言をされた場合
  • 職場内に水着姿の女性のポスターなどを掲示された場合

企業の安全配慮義務

 使用者は労働者に対する安全配慮義務の責任を負っており、新たな認定基準でも会社の対応が評価に影響しています。セクシュアルハラスメントのない働き易い職場環境を作ることは、安全配慮義務だけではなく、企業の生産性の向上にもつながります。

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資料作成:根岸人事労務事務所 根岸純子
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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