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2012年 10月号 能力不足による解雇
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◇ある従業員50人規模の外資系企業の事例

A社は貿易業を営んでいる従業員50 人規模の外資系の会社です。その会社で長年海外との渉外を担当してきた社員が定年で退職したので後任を募集しました。応募条件は、英会話が堪能(TOEFL 850 点以上)で法律の知識(主に日米両国の特許権法、著作権法)がある人というものでした。10 人位の応募者の中から会社が選んだ人は、日本の有力大学の法学部出身で、法科大学院も修了しており、その上、アメリカの大学に留学経験があり、帰国してからは弁護士事務所で働いていた人でした。
面接時には、いかにも折り目正しいスポーツマンタイプで、笑顔も出る感じのよい青年という印象で、体格もよく、実際格闘技経験者で現在も練習に通っているということでした。履歴書にはビジネスクラスの英会話可能と書かれており当人も確言していました。
ただし、TOEFL 850 点以上という外資系である社の基準には届かない750 点という本人の申告でしたが、それは入社してからの本人の努力や慣れということに期待して、会社が求めていた「ビジネスに関する英会話に堪能で法律に詳しいスペシャリスト」に適任であると結論し、かなりの高給を以って法務部の管理者として採用しました。

勤務

ところが、入社してからは面接時の折り目正しい好青年の姿は消え失せ、きちんとした挨拶をしない、挨拶をされてもうなづくだけで返事をしない等社会人としての基本的な事柄ができない、ということが明らかになりました。上司が注意を与えても自分ではしているつもりらしく、何故注意をうけるのかわからない、と反論し改善しようとはしませんでした。

また、自分より社歴の長い年下の社員に対して横暴な態度で臨み、そのことに対してその社員が抗議すると、ファイティングポーズを取って「やるか!」などというような常識を疑わせるような行動、態度、言動もありました。

さらに実際に海外の会社との折衝という英会話が必要なところで仕事をさせると、その英語はほとんど使い物にならず、相手の会社から抗議を受ける有様でした。その上、著作権の問題で他の日本企業から質問趣意書が届いても全く対応ができませんでした。

退職勧奨

会社としては、このままでは、給料、地位に見合った仕事は期待できず、改善の見込みの可能性も少なく、他の職務に就かせることも検討しましたが、英語力の不足、コミュニケーション能力の不足から適当な職務もないと判断し退職を勧奨しました。退職勧奨は慎重を期しおよそ2ヶ月間で3回行いました。

しかしながら、当人は「退職勧奨は違法である。」旨の発言を常に繰り返し、逆に尋問のような口調で記録を採り続け退職勧奨を拒否しました。そこで会社はやむを得ず、30日分の予告手当を支払い、即日解雇しました。

その2週間後その元社員は、不当解雇であるとして、弁護士を通じ会社を訴えてきました。会社も弁護士を依頼しました。裁判はまだ始まっていませんが、弁護士によると会社の不利は免れないそうです。

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作成:社会保険労務士 吉田達事務所 吉田達
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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