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2012年 9月号 禁止されている自転車通勤途上の事故、通勤災害になる?
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あるメーカーの社員の事

 自転車通勤が禁止されているにもかかわらず、これに反して自転車で通勤していた社員が、通勤途中に転倒し、頭部を強く打って死亡しました。退社時に焼酎を持参しており、その焼酎が2~3合減っていて、死体検案時の所見血中アルコール濃度から判断すると被災者は泥酔または昏睡状態にあり、このような状態で自転車を運転することは「合理的な方法」といえず通勤災害は認められないとされました。

通勤災害とは

 「通勤災害」とは、労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡をいいます。
 「通勤」とは、労働者が就業に関し、次に掲げる移動を合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとされています。

  1. 住居と就業の場所との間の往復
  2. 就業の場所から他の就業の場所への移動
  3. 単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動

 移動の経路を逸脱し、または中断した場合には、逸脱または中断の間およびその後の移動は「通勤」とはなりません。

禁止されている自転車通勤途上の事故は

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 自転車通勤が禁止されているにもかかわらずこれに反して自転車通勤をすることは、職場の規律に違反するもので、就業規則の懲戒事由に該当してもそれだけでは通勤災害にならないという理由にはなりません。
 通勤は「合理的な方法」により行うことが必要ですが、「合理的な方法」とは一般に労働者が用いると認められる方法をいい、鉄道・バス等の公共交通機関を利用する場合、自動車・自転車などを本来の方法によって使用する場合、徒歩等の通常用いられる交通方法は、その労働者が平常用いているかどうかにかかわらず合理的な方法となります。

 したがって、自転車通勤が禁止されていたとしても自転車による通勤は一般的に用いる手段と考えられるので、「合理的な方法」といえ、自転車通勤途上の事故に対しては通勤災害が適用されます。

飲酒運転と「合理的な方法」

 しかし、免許を一度も取得したことがないような人が自動車を運転する場合や、自動車・自転車等を泥酔して運転するような場合は、合理的な方法とは認められません。通達では、清酒を3合飲んでバイクを運転することは、正常な運転ができないおそれがある「泥酔運転」に該当し、「合理的な方法」とは認められないので通勤災害には該当しないとされています。なお、飲酒運転の場合や、単なる免許証不携帯、免許証更新忘れによる無免許運転の場合は、必ずしも、合理的性を欠くものとして取り扱われませんが、この場合は諸般の事情を勘案して給付制限が行われる場合があります。

 したがって、禁止されている自転車通勤は、本来の方法によって使用する場合は通勤災害となりますが、泥酔状態等で運転していた場合は通勤災害と認められません。

自転車通勤途上の事故と使用者責任

 自転車での通勤途上の事故は労働者がケガをする場合だけではなく、労働者が加害者となって他人にケガをさせてしまう場合もあります。通勤中は使用者が労働者に対して支配力を及ぼしているわけではないので、原則として通勤途上の事故については、その労働者が損害賠償の責任を負うことになります。
 しかし、使用者についても民法715条に基づく損害賠償責任が問われることもあります。判例では、日常的に自転車が業務に利用され、会社が労働者の自転車に対し支配力を有しているような特別の事情がある場合には会社の責任を認めているようです。

 いずれにしても、会社のリスク管理としては、万が一の事故に備えて、労働者に民間保険への加入義務を課すなどの対策を講じておく必要があるでしょう。

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資料作成:根岸人事労務事務所 根岸純子
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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