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2012年 8月号 パート社員の解雇
パート社員の解雇

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ある清掃専門会社の事例

 ある清掃専門の会社の話です。その会社の本社は某県にありますが、その他の地方の道府県にも仕事を持っています。元々はその地方にも支社がありましたが、現今の不況による影響で、経費節減の一環として支社を閉じ、本社の人間が直接各事業所に出向き、そこで働いているパート社員等への指示、命令を下すようになりました。仕事としてはデパート、スーパーマーケットなどの商業施設の清掃、屋内外で開催されるイベント、ライブの清掃、後片付けが主な業務です。
 問題が起こったのはある地方の中堅スーパーの某店舗でした・・・。

 そのスーパーには、4人のパート社員が清掃要員として勤務しており、Aさんがリーダーということでした。そこに平成○○年5月1日に5人目のQさんが入社してきました。Qさんは、時給1,000 円、1日8時間、週2回勤務、1年契約の有期労働者で双方問題がなければさらに1年間更新という契約でした。

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 しかし、Qさんの就業後数ヶ月経つと、現場の先輩の他のパート社員から、Qさんの仕事ぶりについて不満の声があがり出しました。

例えば・・・

  • 清掃の仕方が雑で何度注意しても改善しないので他のパート社員がQさんの清掃した後にもう一度清掃をしなければならないことがある。
  • 皆で互いに協力しあうという姿勢が見られず、自分は急に当日休む場合があってそのために他の休みのパート社員を呼び出すこともあるが、自分は他のパート社員が急遽休んだときには勤務日ではないからと言って出勤に応じない。
  • 閉店後のゴミ出しも自分が回収した分だけ済ませるとサッサと帰ってしまい他の人を手伝わない 等。

そういったことをリーダーのAさんが本社の担当者のKさんが来るたびに報告していました。Kさんにとっても頷ける点があるのでQさんに何回も注意、指導しましたがそういった問題は改善されません。

 一方、QさんはQさんで本社の人事部に次のような訴えをしてきました。
曰く

  • 「リーダーから何故指示通りできないの、と背中を叩かれた。」
  • 「一度拭いた同じ場所を二度拭かされた。」
  • 「事前のミーティングで指示されていなかった場所を急にやらされた。」
  • 「バケツにゴミを入れられるような嫌がらせを受けた。」
  • 「店舗中の従業員やお客さんにも聞こえるような大声で他のパート社員から恫喝された。」
  • 「リーダーに反論すると貴方を首にするのはわけは無い、と言われた」等々。

勤務態度の悪さを理由に解雇。しかし・・・

 このまま放置しておくとまずいと考えた本社のKさんがそのスーパーマーケットに赴き、双方の言い分を聞きましたが、

  1. Qさんの言い分はどうも疑わしい(他のパート社員はQさんの本社への報告を総て否定)ということ、
  2. 確かにQさんの掃除の状態は依然として改善されていない、
  3. コミュニケーション能力に問題あり、

という点は認めざるを得ないということでやむを得ず1月31日付けで解雇ということにしました。しかし形としては自己都合退職として辞表を提出させました。まだ有給休暇が3日間ありましたので、好意のつもりで実際の退職日は2月15日という事にして、有給休暇分を支払いました。
 しかし、その後Qさんはこの処分を不服として労働局にあっせんを申請しました。

 その事項及び理由は、

  1. 2月15日付けの退職届はKさんから強制されたもので無効である。
  2. そのKさんの不法行為によって受けた精神的苦痛と経済的損失に関して100万円の損害賠償。
  3. あっせんの場所に赴くための往復の交通費。

というものでした。

 K氏はあっせんの場に臨みましたが、その場で出たあっせん委員の提案は、裁判となった場合は、解雇は無効という事になるでしょうから、1年契約の期間が終わるまでの3ヶ月分の賃金と有給休暇分の買い上げ(既に支払い済み)と往復の運賃を支払うということでどうでしょうか、というものでした。最終的には、その提案を双方が受け入れるかたちとなりました。

※ 労働局の「あっせん」とは、裁判のように互いに対決姿勢をとることなく話し合いで解決案を導くなど、迅速で適正な解決をめざすという趣旨のものです。

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資料作成:社会保険労務士 吉田達事務所 吉田達
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

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