ある清掃専門の会社の話です。その会社の本社は某県にありますが、その他の地方の道府県にも仕事を持っています。元々はその地方にも支社がありましたが、現今の不況による影響で、経費節減の一環として支社を閉じ、本社の人間が直接各事業所に出向き、そこで働いているパート社員等への指示、命令を下すようになりました。仕事としてはデパート、スーパーマーケットなどの商業施設の清掃、屋内外で開催されるイベント、ライブの清掃、後片付けが主な業務です。
問題が起こったのはある地方の中堅スーパーの某店舗でした・・・。
そのスーパーには、4人のパート社員が清掃要員として勤務しており、Aさんがリーダーということでした。そこに平成○○年5月1日に5人目のQさんが入社してきました。Qさんは、時給1,000 円、1日8時間、週2回勤務、1年契約の有期労働者で双方問題がなければさらに1年間更新という契約でした。
しかし、Qさんの就業後数ヶ月経つと、現場の先輩の他のパート社員から、Qさんの仕事ぶりについて不満の声があがり出しました。
例えば・・・
そういったことをリーダーのAさんが本社の担当者のKさんが来るたびに報告していました。Kさんにとっても頷ける点があるのでQさんに何回も注意、指導しましたがそういった問題は改善されません。
一方、QさんはQさんで本社の人事部に次のような訴えをしてきました。
曰く
このまま放置しておくとまずいと考えた本社のKさんがそのスーパーマーケットに赴き、双方の言い分を聞きましたが、
という点は認めざるを得ないということでやむを得ず1月31日付けで解雇ということにしました。しかし形としては自己都合退職として辞表を提出させました。まだ有給休暇が3日間ありましたので、好意のつもりで実際の退職日は2月15日という事にして、有給休暇分を支払いました。
しかし、その後Qさんはこの処分を不服として労働局にあっせん※を申請しました。
その事項及び理由は、
というものでした。
K氏はあっせんの場に臨みましたが、その場で出たあっせん委員の提案は、裁判となった場合は、解雇は無効という事になるでしょうから、1年契約の期間が終わるまでの3ヶ月分の賃金と有給休暇分の買い上げ(既に支払い済み)と往復の運賃を支払うということでどうでしょうか、というものでした。最終的には、その提案を双方が受け入れるかたちとなりました。
※ 労働局の「あっせん」とは、裁判のように互いに対決姿勢をとることなく話し合いで解決案を導くなど、迅速で適正な解決をめざすという趣旨のものです。