労務リスクニュース - バックナンバー

2012年 5月号 メンタル不調による休職、解雇したら訴えられる?
メンタル不調による休職、解雇したら訴えられる?

オリジナルファイルのダウンロード(PDF)

あるメーカーの事例

 うつ病で休職、従業員から復職を申し出てきましたが、戻る席がなかったため退職勧奨したところ、個別労働紛争解決制度においてのあっせん申請がされた事例です。
 うつ病で3か月休職し、3か月後に従業員から復職の申し出がありましたが、突然また発症して職場放棄される懸念から、どの部署も引き取ることを拒み、無理に復職させても社内のチームワークを乱すことになるため退職を勧めたところ、従業員からあっせんの申請がされてしまいました。

 メンタル不調による休職者は年々増え続けています。療養後病気が回復し、無事に復職できることが一番望ましいことなのですが、上記の事例のように復職後の従業員への対応の不安から復職に関しては積極的になれず退職勧奨又は解雇をしたためにトラブルになることも少なくありません。
 しかし、解雇をするにあたっては、労働契約法第16条により「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものして無効とする。」と定められており、会社としては十分な注意が必要となります。

職場復帰に関する主な裁判例

イメージ01
○東海旅客事件(大阪地判 平成11年10月4日 労働判例771号25頁)
能力、経験、地位、使用者の規模や業種、その社員の配置や移動の実情、難易度を考慮して、配置換え等により現実可能な勤務場所がある場合はその業務を指示すべきとし、本人が復職の意思を表明しているにもかかわらず、復職不可の判断に誤りがあったと言わざるを得ないとして休職期間満了による退職が無効になった例
○北産機工事件(札幌地判 平成11年9月21日 労働判例769号20頁)
復職後直ちに100%の稼働が出来なくても、職務に従事しながら2、3か月程度の期間をみることによって完全に回復することが可能であったと推測することができ、休職期間満了を理由に退職させる要件が具備していたと認めることはできず、休職期間満了として退職とした扱いは無効とされた例
○独立行政法人N事件(東京地裁 平成16年3月26日 労働判例876号56頁)
「従前の職務」とは休職前に担当していた職務を基準とするのではなく、会社の従業員が本来通常行うべき職務を基準とするべきとして、休職の前に割り当てられた単純作業について復帰可能という状態であること、休職期間が2年6か月の長期に及んでいることから、休職期間満了時において復職できる状態とは言えないとし、休職期間満了を理由とする解雇を有効とした例
○J学園事件(東京地裁 平成22年3月24日 労働判例1008号35頁)
主治医は校医からの「職場復帰支援に関する情報提供依頼書」に対し、本人の同意の有無が不明であるとして回答しなかったものであるが、そのような事情があるにせよ、退職の当否を検討するに当たり、校医が治癒の経緯や回復可能性について、主治医から意見聴取を行わなかったことは、現代のメンタルヘルス対策の在り方として不備なものと言わざるを得ないとされた例

職場復帰の判断の可否

基本的には休職措置の理由となった疾病が回復または就労が可能となった程度に軽減状態で固定したとすれば当然に復職がなされることが原則です。会社は、従業員が復職を申し出てきた際には、主治医や産業医の診断に基づき、職場復帰の障害となるような客観的な事情が存在しない限り、復職を認めることが法的に求められ、さらには直ちに従前の職務に復帰出来ない場合でも、その診断によって他の業務や比較的短期間で復職可能と認められる場合は、他の業務の提供や短期間の職場復帰準備期間の提供などが信義則上求められています。

オリジナルファイルのダウンロード(PDF)

詳細な資料のダウンロードはこちらから(PDF)

資料作成:根岸人事労務事務所 根岸純子
※本ニュースを無断で複製または転載することを禁じます。

TOPページへ戻る

おすすめコンテンツ

  • 地域AD倶楽部
  • ベルマーク運動
  • 運送ラボ
  • 建設ラボ
  • フード&アグリラボ
  • ケア・フレンズ
  • ベストケアサポーターのご紹介
  • eco now
  • インターリスク総研