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2012年 1月号 転勤命令を拒否されても強制できる? ― 配置転換時の注意点 ―
転勤命令を拒否されても強制できる? ― 配置転換時の注意点 ―

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配転命令拒否で懲戒解雇が認められた裁判例 =東亜ペイント事件(最二小判昭61.7.14)

 =事件の概要=
 Xは、大学卒業後、全国15か所に事務所・営業所を置くY(被告)に営業担当者として入社し、大阪営業所、A社大阪営業所への出向を経て、Y神戸営業所において主任待遇で勤務していた。
 Yは昭和48年9月、Xに対して広島営業所への転勤を内示したが、Xは家庭事情を理由に転居を伴う転勤には応じられないとしてこれを拒否した。YはXに対し再度説得したがXが応じなかったため名古屋営業所への転勤を内示したところ、家庭の事情を理由にこれも拒否をした。
 YはXの同意が得られないままXに対し、名古屋営業所勤務を命ずる旨の転勤命令を発令したところ、Xはこれにも応じなかったため、YはXが転勤命令を拒否したことは就業規則所定の懲戒事由に該当するとして、昭和49年1月Xに対し懲戒解雇を行った。

個別の同意なしに転勤を命ずることができるか?

 上記の裁判例では次の事情下では会社は労働者の個別的同意なしに転勤(配置転換)を命ずる権限(配転命令権)を有するとしています。

(1) 労働協約及び就業規則に「会社は業務上の都合により従業員に転勤を命ずることができる」
  旨の定めがあること。
(2) 現に会社では全国に十数か所の営業所等を置き、その間において従業員、特に営業担当者
  の転勤を頻繁に行っていたこと。
(3) 労働契約締結時に勤務地を限定する旨の合意はなかったこと。

 勤務地、職務内容を限定して労働契約を締結した場合には、転勤は当該労働契約の要素に変更を加えることになるので、労働者の同意が必要であり、使用者は一方的には転勤を命ずることはできないことになります。

配転命令が権利の濫用になる場合は?

 そして、使用者に配転命令権が肯定される場合にも、次の場合は権利濫用として無効になるとされました。

(1) 配転命令に業務上の必要性が存しない場合
(2) 配転命令が不当な動機・目的に基づく場合
(3) 労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を及ぼす場合

業務上の必要性とは?

 業務上の必要性とは (1)人事異動の必要性(2)人選の合理性 がありますが、上記の裁判では「転勤への異動が余人をもっては容易に替え難いといった高度の必要性に限定することは相当でなく、労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは業務上の必要性の存在を肯定するべきである」とされています。

権利濫用法理による配置転換時の注意点

(1) 就業規則には転勤を命ずることができる旨の規定を定めておく。
(2) 配置転換は不当な動機・目的をもってなされたときは権利の濫用となる。
(3) 業務上の必要性とその命令がもたらす労働者の不利益が不釣り合いに大きい場合は権利
  の濫用になる。
(4) 転居を伴う転勤は労働者に大きな影響を与えるため、その配慮の有無も権利の濫用の判断
  に影響がある。


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