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2014年 7月号 中国における知的財産権を巡る問題と対応
中国における知的財産権を巡る問題と対応

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 中国における知的財産権(以下「知財」)問題については、2012年8月号で一部取り上げました。それから2年経過しますが、現在の中国の知財を巡る問題を中国の知財訴訟の現状から再確認し、新たな問題についても説明します。

中国における知財訴訟の概要

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1.特許訴訟の増加とその背景
中国特許訴訟は、国家の技術国志向、2008年の「国家知的財産権戦略概要」の公表、2009年10月1日特許法改正を背景に、急激な勢いで増加してきました。この影響で、特許出願数の著しい増加や、訴訟になった場合の自国企業保護の傾向が強く認められます。2013年も、係属案件を含め上級審での件数の伸びが大きい状況が続いています。

2.訴訟の内訳
模倣問題を含む「特許・実案・意匠」、「著作権」に関わる訴訟数は前年比約5%減の件数となっていますが依然として発生件数は高止まりの傾向にあります。
また、「商標」が前年比17.5%および「不正競争(含独禁法)」が前年比16%と、高い伸び率になっています。

3.賠償額の高額化
2009年の特許権侵害に関わる仏企業の3.3億元(54億円弱)の和解や、日本企業に対する5千万元(8.2億円)の判決等、特許権訴訟の賠償額が高度化している様子が見てとれます。(1人民元:16.29円で換算)

4.訴訟の公平性
裁判所については、特許訴訟だけでも最高人民法院が指定する百数十の裁判所が事件を取り扱いますので、裁判官の 専門化が進まず、地方差も大きいという裁判の質の問題があり、訴訟結果に不確実性が残ることが懸念されます。
知財訴訟は総じて判決を得るわけではなく、その7割弱が調停で解決しますが、往々にして調停が強要されることもあります。

2013年の特徴的事例

1.渉外損害賠償事件(非中国当事者を含む訴訟)
「華為科技有限会社 対 Interdigital(米国)」事件では、原被告間のライセンス交渉が未解決の段階で、被告米社が原告中国社製品の米国輸出差止を求めてITCへ提訴したことが、中国裁判所において違法とされ、2,000万元(3.3億円)の損害賠償請求が認められました。米国ITCへの提訴が違法とされた、自国保護を感じられる判例です。

2.渉外不正競争事件(技術情報流出)
「SI Group 対 華奇化工」事件では、米系原告会社の社員が技術情報を持ち出して中国系企業転職し、特許出願、製品化に対して原告200万元の損害賠償を求めましたが、一、二審共に特許技術は持ち出した技術とは同一でないとして米系会社の敗訴が確定しました。これも技術の同一性認定に関して自国保護が感じられる判例です。

企業の取るべき対策

日本の本社であれ、中国の現地法人であれ、従来の自らの知財を保護する為の防護対策に加え、今後は中国社の知財侵害の訴えに対して、予防、防護措置を取ることが非常に重要となります。特に日中関係と中国国策を背景に、訴訟を行う場合は戦略、戦術的検討が従来以上に求められます。以下はその対策例です。

  • 技術、商標や表現物の新規使用にあたっては特許、商標、著作権等の適切な確認の徹底を行う。
  • 確認結果または判断については、中国のみならず中国外の知財にも通じた専門弁護士へ相談を行う。
  • 知財訴訟の兆候を感じた段階から、将来の訴訟において不利とならないよう、予め弁護士と想定による対応計画を立てる。

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