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2014年 5月号 米国医療事情とオバマケアへの対応
ブラジルにおける治安情勢とリスク対策

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 米国は、世界でも有数の医療費用が高額な国として知られており、米国進出企業等にとっては、出張中の社員が事故等により高額の医療費支出を余儀なくされるリスクが考えられます。また、従業員の福利厚生は付加的給付(フリンジベネフィット)として人材確保上の重要な戦略的要素となります。更に2014年は医療保険制度改革(所謂「オバマケア」)が本格的に実施される年になり、医療保険の付保義務を遵守できない場合、罰金(Penalty)が科せられます。本号では、米国における医療費を取り巻く状況と企業としての対応についてご紹介します。

米国における高額医療費支出事例

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1.虫垂炎(2013年)

病院に入院した20歳の米国人のケース。治療費総額は約5.5万ドル(560万円)のところ、医療保険にて8割がてん補され、自己負担は1.1万ドル(112万円)。

2.顔面骨折(2008年)

交通事故で顔面4か所を骨折。ヘリコプターで搬送後、ICUで処置を受け、1週間入院した日本人のケース。医療費総額約10万ドル(1,030万円)超。

ご参考:ニューヨークにおける医療費事情

ニューヨーク市マンハッタン区における医療費は、同国内の他地域の2-3倍ともいわれ、初診料は150-300ドル(専門医の場合200-500ドル)、入院室料1日数千ドルを要します。
 事例)急性虫垂炎で入院手術後腹膜炎を併発、8日間入院して7万ドル(710万円)。

出典) American Journal of Medicine 2009年8月号、外務省・在外公館医務官情報

米国医療費およびオバマケアの企業への影響

1.経緯

 米国には国民皆保険制度がなく、社会保障制度も高齢者(Medicare)、低所得者層(Medicaid)等に限られるため、民間医療保険を購入することが一般的でした。しかし民間医療保険は入手困難か、入手可能であっても高額且つ補償内容が限定される状況が続きました。
 これに対し、2008年アメリカ大統領選挙で医療制度改革を公約として掲げたオバマ政権は、2010年3月に医療制度改革関連2法を成立させ、その後の26州による違憲訴訟*に対する2012年の連邦最高裁判所の合憲判断を経て、2014年1月1日から適用を開始し、加入者数が当初目標の700万人を超えたとしてオバマ大統領は4月1日勝利宣言をしました。
 *同法が国民に保険加入しない場合、罰金義務を科すのは連邦議会の権限を越え、違憲である等として提起した訴訟

2.法的義務

 医療制度改革法によれば、「米国に在住する個人は、通常、同法の定める基準を満たした医療保険に加入する、あるいは罰金を支払うことが求められることとなります。」(在アメリカ合衆国日本国大使館2013年12月27日お知らせ)。当該医療保険はてん補率により、ブロンズ(60%)、シルバー(70%)、ゴールド(80%)、プラチナ(90%)の4クラスに分けられます。

3.企業、駐在員への影響

 現在、米国ではカバーの広い民間医療保険がフリンジベネフィットとして雇用上の要素となっており、人材を確保する上で、対応は必須の状況です。また、現地米国社員のみならず、短期滞在者免税(183日ルール)が適用される駐在員とその家族についても医療制度改革法の適用を受けること、雇用主が適格医療保険(”Minimum Essential Coverage”)を提供できない場合、罰金の負担が発生すること等、企業にとっての影響は決して小さいものではありません。

企業(日本本社、現地拠点)の取るべき対策

1.日本本社における適切な保険手配

米国への出張者はもとより、現地の医療保険のてん補率が十分でない場合には、本邦社員の処遇バランスを踏まえ、米国現地法人へ出向する駐在員の自己負担額の補てんについても、適切な保険手配等のリスクファイナンスを行うことが必要です。

2.現地拠点におけるコンプライアンス遵守

州、連邦の雇用関連法を確認し、自社にとって合理的な雇用契約に基づく処遇(benefit)を決定し、適切に実施することが重要です。これは、万が一のときの雇用上の紛争や訴訟を回避する為にも有効となります。

3.現地拠点におけるフリンジベネフィットの充実

従業員に対する福利厚生の一環として、てん補率の高い医療保険を手配することは、人材確保の観点からも重要な事項です。

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